2006-10-07から1日間の記事一覧

第8章 本法律案の限界と意義

この法律案は、その前提としている条件について以下のような問題点を指摘することができるため、制度の実地化にあたってはなお克服すべき課題が多い。(P)しかしながら、この法案の提案は以下のような革新的な提案をしている点において意義があると考えて…

第7章 「当事者間協議を通じた既存不適格建築物の耐震性の適正化を図るための当事者間協議の手続等に関する法律案」

第4章での政策的な意図を実際に条文に落とし込むとどうなるだろうか。(P)

第6章 制度設計の考え方

そこで、これらの条件の悪さを1個1個、まるでオセロの駒をひっくり返していくような形で制度設計を考えてみよう。まず最初に、権利設定の問題であるが、これは周辺住民に対して何らかの請求権を与えてやればいいのではないかという考えが出てくる。しかし…

第5章 当事者間交渉による問題の解決に向けて

この紛争当事者間交渉による解決の効率性という点については、実はすでに経済学的な論拠が与えられている。それが今回のテーマとして俺に与えられたいわゆる「コースの定理」というやつなのである。何と、この定理によれば、社会的な紛争が起きているケース…

第4章 所有者の意思決定に対する2つの政策案の限界と教訓

したがって、このような意思決定のあり方の硬直性を踏まえた上で、所有者にどういう形でインセンティブを与えれば、耐震改修を行ってくれるのだろうかという問題を改めて考えていくことが適切だろう。そこで、インセンティブ付与方法を意思決定の介入の度合…

第3章 耐震改修が進まない原因:所有者の意思決定の硬直性

そこで、耐震改修が進まない原因として所有者の意思決定がどういうメカニズムになっているのかを分析してみよう。そもそもなぜ耐震性が不十分な建築物が発生するのか。それは、建築基準法の既存不適格建築物制度によってその存在が認められていることに原因…

第2章 現行政策の問題点から見えてくる政策立案の基礎的条件

そこで、ではどういう形でこの負の外部性を解消していくのが適切なのだろうか。これが最も基本的な問題として考えなければならない。この問題に対して政府はすでに回答を提出している。簡単に言えば、耐震性の低い建築物の所有者の金銭的な負担を軽減してや…

第1章 問題の所在:耐震性の低い建築物がもたらす負の外部性

最初に、耐震性の低い建築物があるとどういう事態が生じるかを阪神大震災のケースをもとに考えてみよう。阪神大震災は、震度7クラスの地震が市街地の中心で発生した都市直下型の地震であったことが大規模な地震災害になった一つの原因であると考えられてい…

経済研修修了

無事、研修が修了した。来週の海猿船乗船体験ツアーが終われば3週間半のパラダイスも終わってしまう。あーぁ。今回の研修では経済学的な視点を使って、ある一定のテーマに沿った形で自由に社会問題を分析し、政策提言を行うというプレゼン発表と論文の作成…