making the road

友人がブログで道路のことを書いていた。こういう職種に就きながら道路政策に興味のない俺も、さすがに自分の担当法案の審議日程がこの件で大いに影響を受けているため、それなりに気にはしている。

おそらく戦後の日本の社会資本整備政策の最大の転換期にあることは間違いない。道路公団民営化の比ではない。道路整備だけを特別視する根拠をあげつらうのもとうとう無理が来たのだろう。

しかし一方で、この流れに一抹の違和感を感じざるを得ない。

それは、衆参のねじれという特殊な政治状況がもたらす圧力と、「ガソリンの値段が高くなるのはイヤ」という日和見的な庶民感情(を利用した国会の議論と言うべきか)の2つの要因によって、なし崩し的に重要な政策転換がなされようとしているからだ。

そこには、将来の社会資本整備の思想、ひいては一般財源化を踏まえた日本全体の政策のグランド・デザインがないまま、何となくその場の空気に押し流されて意思決定をしていく、そういう今の日本の政治・行政の態度が見て取れるような気がしてならない。

さっきNHKスペシャルで、GHQ草案をベースに日本国憲法を作ったときの国会の小委員会で議員たちが一条一条、条文の意味を問い詰めながら憲法改正に漕ぎ着けたというエピソードを見たせいか、こういう思いが一層強まる。

とはいえ、この小委員会の委員たちも、憲法第59条第2項及び第4項についてはそれほど深く議論をしなかったのかもしれない笑




ちなみに、GHQ草案をベースに実際に日本政府案の作成に携わったのが内閣法制局第1部長の佐藤達夫で、彼は至急作り上げた条文案を持ってGHQに乗り込み、民政局との間で30時間も不眠不休で条文案の交渉をしたという。

今の法制局の審査スタイルはここから来ているのだろうか…。ちなみに俺が建築基準法改正を担当したときの1回あたりの審査の時間は、最長でも14.5時間だった(朝10時半スタートで途中休憩1時間挟んで深夜2時)が、もう途中から脳ミソが朦朧としていたことを覚えているような、覚えていないような…。

だから、俺には憲法改正は無理だ。