はやりことば

「うをー」はもはや不動の地位を築いたキング・オブ・常用語である。あらゆる状況に適用可能なその汎用性ゆえに、伝播性・感染性も非常に強い。いまや大学を超えて使用されている例もある。

しかし、この4月から、「うをー」にならぶ強烈な常用語が台頭してきた。それは

「いかつい!」
「まじあれ!」

である。騙されたと思って使ってみなさい、びびったときやおもしろいとき、変なやつを見かけたとき、とにかくあらゆる状況で「いかつい!」を使うことができることに気づくだろう。上述の名刺屋の頑固じじいなんかいかついおっさんの代表例である。ポイントは、「いかつい!」と叫びながらまゆげあげて目をひんむくことである。そうすればいかにそれがいかつい状況なのかがより的確に相手に伝わる。この語もかなりの伝播性・感染性があるらしく、省内同期は一気に広まったあげく、最近は省を超えて広まりつつある。

「まじあれ!」に関しても、非常に便利な言葉だが、「あれ」の指し示す内容をいちいち言わなくても分かり合えるくらいの親密さが会話者間で成立していないとただのキ●ィの会話になってしまうので注意。

思うに、こうした汎用性の高い語を探し当てる能力のある人間というのはやはりすごい。あらゆる事象に対する驚きや感動など人間の心情の変化を、そのたった一言で捉えることができる能力を持っているということに他ならないからである。その意味で「うをー」の創始者Hと「いかつい!」「まじあれ!」の創始者Mには心からの敬意を表したい。

しかし、汎用性の高い常用語が台頭するということは、裏を返せば俺らのボキャ貧度も確実にアップしているということである。これからの世の中、全ては交渉ごと、口が物をいう。そんなときに「うをー課長うをー!」とか「この契約いかつい!」とか言ってたら確実に世間から脱落していくこと請け合いである。


うをー何ていかつい世の中だ。まじあれだよ、まじ。