<耐震偽造>姉歯被告、実刑確定へ 最高裁が上告棄却

またひとつ、事件の一里塚を通り過ぎた。

2月21日10時46分配信 毎日新聞

 耐震データ偽造事件で、構造計算書を改ざんしたとして建築基準法違反などに問われた元1級建築士姉歯秀次被告(50)に対し、最高裁第1小法廷(甲斐中辰夫裁判長)は19日付で上告を棄却する決定を出した。懲役5年、罰金180万円とした1、2審判決が確定する。この事件で実刑確定は初めてで、近く収監される見通し。

 弁護側は「実刑は重過ぎ、破棄しなければ著しく正義に反する」と執行猶予を求めていたが、小法廷は「上告理由に当たらない」とだけ述べて退けた。

 姉歯被告は、当時、罰金刑しかなかった耐震偽造建築基準法違反)は全面的に認めつつ、法定刑が懲役刑の国会での偽証(議院証言法違反)では無罪を訴えた。だが1、2審は、偽証に関し「実態解明と適切な行政指導を遅らせた」などとして実刑を言い渡していた。

 1、2審判決によると、姉歯被告は03〜05年、神奈川県藤沢市の「グランドステージ藤沢」などマンションとホテル計6棟で構造計算書を偽造し強度不足の建物を完成させた。05年12月には、衆院国土交通委員会の証人喚問で、鉄筋量を減らすよう圧力をかけられたと虚偽の証言をした。また03〜04年、1級建築士の名義を貸した。

 姉歯被告を含め、同事件で起訴された6人中4人は1審の執行猶予付き有罪判決が確定。詐欺罪に問われたマンション販売会社「ヒューザー」元社長、小嶋進被告(54)は来月、東京地裁で判決がある。【高倉友彰】