[雑記]その後7

H20年1月8日の大臣会見より

(問) 構造計算プログラムですが、大臣がおっしゃったように仮認定というのは特例的な措置だと思います。その他、いろいろな建材などを通じてもこういった措置をとったということはないのではないかと思いますが、このようなことをやるのはなぜでしょうか。また、NTTデータだけをそのようにするというのはなぜでしょうか。
(答) 6月20日に法を施行しました。構造計算というものは大変複雑で、しかもそれをダブルでチェックすると、一定の規模以上の建物ですが、構造計算書は私も見ましたが、床面積1万?程でもすごい構造計算で、見たら全部数字です。そういうものを作る、またこれを再審査する、2回チェックされるわけですから、審査する人たちにとっていちいち計算し直していたら大変なことだと思います。そういうことから、今まで訓示規定でありますが、21日で申請から確認を下ろすとしていました。それを70日まで延ばしたというのは、そのような複雑な作業が予想され何回も行う手間を考えたときに、それぐらいの時間が必要であろうということからそうしたわけです。その時に武器になるのが我々が想定していた大臣認定プログラムでありまして、これをきちっと使ったということが明らかにされれば、その部分についてのチェック作業は大幅に減少する、半分程でできるのではないかと言われて期待しています。これはもちろん社会資本整備審議会の建築分科会等にお諮りし、専門の学者、あるいはプログラマー等々の意見を伺いながら、こういうものを作って、専門の業界にお示しして、そういうものを作ってほしいということを申し上げていたのです。当初の予想では、できれば6月20日から近い日にこれができなければ、実際は混乱するわけですから、できると期待していましたが、思いのほかプログラマーにとって難しいということが徐々に分かってきました。一番先行していたのが株式会社NTTデータでして、その他にもう2社やっていますし、あと10社程度が今も作業を進めていただいています。そういうものが出てくれば、多くの市場性を有することになるのだろうと思いますが、現実には、我々に申請していただいていて一番先行しているのが株式会社NTTデータです。これについては、分科会におきまして、いろいろな入力をしたりしながら、3ヶ月半くらい作業を進めているわけですが、詳細に学術的にするのは必要ではありますけれども、しかし、一日も早くそういうものが無ければ困るという社会的なニーズも有りますので、過去には例の無い特例的な扱いとして、これを仮に認定して、我々も乗りだして一日も早くできるようにしようということです。なぜNTTデータだけなのかということについては、そこが一番進んでいて、3ヶ月を超える期間にいろいろなチェックを重ねて、完成も間近いというところが株式会社NTTデータだけでしたので、こちらを先にしています。後発会社につきましても、なるべく早く作っていただいて、我々が認定できるようにがんばっていただきたいと思っています。
   
(問) 試行から実務に使っても良いということですか。
(答) 今実務ですぐにそれを使うということではなく、これをコンソーシアムにおいて、いろいろな不具合のバグチェックを行っていくということでして、それをそのまま使って設計するということは考えていません。これは正式な認定後直ちに使えるように、今からそれを使う方々を集めて研修会を行っていくということで、正式認定後は直ちにそれが使えるようにしたいというのが現状です。
   
(問) 着工の落ち込みを少しでも早く回復するのが目的ということですか。
(答) そうです。
   
(問) 大臣認定プログラムの仮認定の試行ということですが、仮認定することによって、今後の見通しとして、大臣認定プログラムがどのくらいの時期にできてくるとお考えかということと、これが今落ち込みを続けている住宅着工の遅れについてどのように寄与してくるとお考えでしょうか。
(答) それについては、後ほど実務を担当している住宅局から詳細に説明します。いつと言われると、私は一日も早くとは思います。しかし、一日も早くでも、だいたいいつ頃かというのが皆様方の関心だと思いますが、引き続いて行います住宅局からの説明に譲りたいと思います。それから、どう裨益するのかということについては、まだ12月の結果が出ていませんが、確認件数及び着工件数ともに、まあ、うなぎ登りというのは言い過ぎかもしれませんが、正常に向かっていることは事実です。しかしながら先ほど申し上げたように、これが正式認定されて直ちに作動するということがあれば、今まで70日を予定していたものが約半分ぐらいになると聞いていますので、相当裨益すると思います。なお、戸建て住宅等については既に正常化しています。問題はこのようなものを使わなければできないような、大きな計算が必要なものについて、まだ正常に戻っていないということですので、これが威力を発揮することを期待します。
   
(問) 開発の遅れの部分ですが、先ほどプログラマーの方もなかなか難儀しているという話でした。開発会社の話を聞くと、国のいろいろな基準の示し方、策定が遅れた部分があったという非難もやや聞こえますが、その部分についてはどのような認識をお持ちですか。
(答) 相当技術的な話ですので、後ほど住宅局の説明の中で詳細に聞いていただきたいと思います。いずれにせよ国が勝手に作成したのではなく、専門家の意見を聴きながら、この点についてはこのような機能が必要だ等、最先端の方々のご意見を伺いながら提案をしているわけであり、なかなかそれを現実に移すのは大変難しいと聞いています。これが遅れているかどうかについては、後ほど住宅局に聞いていただきたいと思います。
   
(問) 年末に横浜のグレイスという中堅マンション分譲会社が経営破綻しました。もともと売り上げが低迷していたところに、建築確認の遅れ等が響いて資金繰りが悪化したと報じられていました。詳しい話はよく分かりませんが、中堅会社まで影響が出ているということに関していかがお考えでしょうか。
(答) 私どもは、そのようなことが起こらないように中小企業庁とも早い時期から協議をし、ご協力をいただきながら政府系金融、また中小企業信用保証協会による別枠保証というようなもので手厚く対応し、こういうことによる資金難については回避するようにしています。当初対象業種は15業種でしたが、20業種を追加していただきまして、全部で35業種、ほとんど網羅的に対象とし、今おっしゃった資金難による倒産をしなように、なんとか一過性のものにして、民間需要自身が落ち込んでいるわけではないので、技術的な面が遅れていることによって資金難が生じることがないように、手当しているつもりです。したがって、グレイスさんがどのような理由や状況をもって倒産したのか、詳らかではないので論評できませんが、そのようなことが起こることのないように早くから手は打っているつもりですし、この会見を見られる方もそのような意味で大いに利用していただきたいと思っています。