ひととひと

最近とみに、ひととひとの助け合いってのは、これほどありがたく、尊いものはないと感じる。

俺一人じゃどう考えても無理だから救援チームをよこしてくださいと嘆願したらすぐに危機を察知して助け舟を出してくれる上司たち。

そして、他の自分の仕事があるにも関わらず、いやな顔ひとつせず、助け舟に乗って俺のヘルプに来てくれる最強の助っ人たち。

やっぱり自分ひとりでやる仕事じゃなくて、組織のチームプレイで仕事していく職業を選んでほんとに正解だったと思う。組織の中でうまく仕事回してみんなで成果を共有していくことの方が俺にとってはずっと達成感がある。

しかし、振り返ってみると、自分はどうなんだろう。確かに、自分が抱えてる仕事は死ぬ気でやり抜いてきた自負があるけど、人に何かヘルプを求められて気持ちよくそれに応じ、何らかのソリューションを提供してきただろうか。職場の内外を問わず、ここ数ヶ月で色んなひとから相談や依頼を持ちかけられるのが激増した気がするけど、自分の都合ばっかり主張してしまってまだまだ他のひとへの配慮とかコミットメントが絶対的に不足している。これが今の偽らざる自分の限界でもあるけれど、本当に申し訳ない。。

いまのプロジェクトが無事セットできたら、今度は今まで周辺に迷惑かけまくった分の恩返しを地道にしていかないといかんなぁと思う今日この頃。




今日は強制的に上司に飲みに連れ出されたおかげでいつもよりちょっと早く帰れたので、この間にいろいろ学んだことをまとめておこう。


①与えられた課題はぎりぎりまでは自分でアタックしてやれるとこまでやること。

ロクに自分の頭で考えもせずに、ただ単に人に仕事を振るのは最低の人間のやることである。あくまで自分に与えられた課題は自分でこなすべきものであって、やれるとこまで死ぬ気で考え抜くこと。したがって、自分でトライした結果、どこまで出来ていて、残りのどの部分を人の手助けを借りれば完成できるのかという、成果と限界を他者に対して明らかにしなければならない。これにより、どういう能力をもった人間を送りこめばこの問題が解決するのか、協力要請の相談を受けた人間もイメージしやすい。


②残されたタイムリミットと自分の余力を見計らった上で、危険水域に達する前に必要なヘルプを周辺に打診すること。

前にもどこかに書いたが、実務というのは学者の世界と違って、ある期限までに必ず何らかの回答を出してそれを社会に提示することが求められる。また、現状をわずかでも改善する方向を示さなければならない。レベルの低い論文にありがちな「…以上の議論から明らかなように、この問題については今後さらなる検討が求められる。」では済まされない。仮に答えがでなくても、考えあぐねた形跡と、何が問題なのかという論点の構造を示すべきである。そういった実務の世界の性質を踏まえると、自分で抱え込むことによってニッチもさっちも行かなくなった場合に周りに与える大きな被害(信頼の低下も含まれる)を思い知るべきである。危険水域の到来を敏感に察知して、すぐにシグナルを周辺に送らないと組織にダメージを与えかねない。
※全ての実務担当者は、自らが担当する案件の危険水域と安全水域について鋭敏に反応できるよう訓練されていなければならない。特に、真実のデッドラインと、完遂するのに必要なマンパワーを常に計算できる能力は誰しも備えておくべきである(管理職でこれができない人間は即失格である。)



③打診にあたっては次の2点に注意すること。
・ヘルプのために組織を一瞬で動かせる力のある人間に直接働きかける。
・ヘルプの即戦力になりうる人材を名指しして、この人の力を借りたいと明言する。

組織の中には、人事担当者ではないが、非公式の人事パワーを持っている人間が何人かいるものである。この非公式な人事力のあるひとにダイレクトに働きかける。時間がないときは特にすぐに組織を動かしてもらう必要があるので、いちいち間に人を立てると返って人集めに時間がかかって本来の案件が進まなくなる。そこで、日頃から周辺で誰がそういう人なのかに目を配っておく。そういう人に限って、用もないのに色んな部屋の間を歩き回って、雑談も含め、いろんな人とのコミュニケーションを図っている姿が頻繁に見受けられる。緊急時にすぐ自分の見方になって動いてもらえるよう、平常時から積極的に意思疎通を図っておく。また、いま自分がどういう仕事をしていて、それがどのくらいの分量で、自分の能力のリミットを越えているかどうか、さらに、もっと大きなビジョンで自分はこういうことがしたい等々についても認識しておいてもらえる状態にしておくこと。したがって、その人たちがその案件に直接関係なくても、作業状況の情報提供を怠らないこと。提供しておけば意外に暇なときに見てくれているもんである。

また、いざヘルプを頼むとなっても、実際に即戦力になってくれる人がその組織内にいない、あるいはいても他の仕事で手一杯になっている、という可能性は否定できない。そうなると、ほんとにそのプロジェクトが回らなくなる。したがって、せめて局内のスタッフ100人前後だけでもいいので、誰が、どのような内容・分量の仕事を、どれくらいの正確性・効率性でこなしているのか、仕事上の当たり(対人コミュニケーションのうまさ、やる気・熱意)はどうか、などをだいたい把握しておくこと。余力があれば、それぞれの過去の職歴を追って、仕事上の得手・不得手まで把握すること。また、特にこの人は、と思うひとには、仕事上の関係があるかないかに関わらず良好な関係を築いておき、お互い非常時のサポートをし合える間柄になっておくこと。
※ただ、こういうことが出来るかどうかは運にもよる。俺の場合は、就職してからの2年間で色んなプロジェクトに色んなチームの中で関与するチャンスを与えられたので、普通の課で2年間仕事するよりも遥かに多くの人との深い関わり合いができた。そういう意味では、今後の人事のあり方というのは、積極的に業務をシャッフルしてジャムセッションするくらいの勢いが必要なんだろう。



④助っ人が即刻行動を開始できるように、課題を整理して、明確な目標と期限を提示するととに、作業に必要な素材を適宜提供すること。

これは言うまでもないが、意外にこれがきちんとできる人間とそうでない人間とで差が出る。
心してかかるべし。



さらにもっと言うと、俺はもっと上の立場になっていったら、何か組織のマネジメントで問題が起こりそうなときにサッと最適な人材を動かせるだけの度量のある人間になりたい。



ちなみに③の解説で「非公式」という語を用いたが、組織の問題を考える上で非公式という概念ほど重要なものはない。組織の意思は、基本的には非公式の方法によって実質が決定される。したがって、その非公式の方法に対して影響力を及ぼすことのできる「非公式の人間」こそが組織の要なのである。それは、必ずしもそれぞれの役職やポストのみで表現されているものではない。組織の非公式な側面がいかに重要であるかという事実は、我が国の歴史における政権の変遷のあり方を見れば一目瞭然である。日本の政治史は、ナンバー2の歴史であると俺は勝手に思っているくらいである(塾でも生徒にそう教えたし笑)。この非公式の問題は、実務者にとっての死活問題であり、ここをコントロールできるかどうかが物事の成否を分けるのである。この点については、後日また筆を取りたい。


以上。とにかく、ヘルプが来る前も今も、一緒にプロジェクトをやってきたチームは最高だ。仕事上の関係でこんだけおもろいんだから、このチームがもしバスケのチームだったりしたらまじでおもろいいんだろうな。

あと1ヶ月足らず。悔いの残らないようにやれるだけやりましょう。諦めたらそこで試合終了ですよ。