ただいま

というかおはよーさんというか。テンションが妙に高いのでちょっと日記書いてから寝ます。法律の例を調べてるうちになかなかおもしろいのをみつけた。だいたいおもしろい法律例というのは、政府提出法案ではなくて、議員立法の場合が多い。

たとえばこーゆーの。

高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成十二年十二月六日法律第百四十四号)

(世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成)
第十七条 
高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策の策定に当たっては、広く国民が低廉な料金で利用することができる世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成を促進するため、事業者間の公正な競争の促進その他の必要な措置が講じられなければならない。

「世界最高水準」って何ですかっていうね。この手の「基本法」シリーズはだいたい政府に「責務」を課すための法律だから、具体的な適用場面は全く考えてない。(ぶっちゃけた話、法律としての中身はすかすか。)なので用いられる言葉もめちゃくちゃあいまい。その分読みやすいけど。ちなみに「世界最高水準」なる奇怪な言葉を法令上用いてる例は他にはありません。

しかし実際に個人の権利義務関係に関わってくるような法律になってくると、まさに一字一句の意味が争われるわけで、そういう法律は冒頭で必死に定義規定を置く。そしてだいたい必死こきすぎて意味不明な定義に陥る。これとかまさにそういうパターンです。

建築基準法(昭和二十五年五月二十四日法律第二百一号)
(用語の定義)
第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一〜六 (略)
七 耐火構造 壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能(通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。
七の二・八 (略)
九の二 耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。
イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
(1) 耐火構造であること。
(2) 次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。
(i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
(ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
ロ その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。
九の三〜三十二 (略)

パッと見て「耐火建築物ってこれか!」と理解できる人はこの世にひとりもいないんじゃないでしょーか。耐火建築物の意味をしろうと思ったら耐火構造の意味を知らないといけないんだけど、別に耐火構造を含まない耐火建築物もありえて、で、結局耐火の性能ってどういうの?と思ったら政令にその具体的な意味が係れてますよ、っていう。ワケがわかりません。この規定は歴史的な経緯があってこういう風に複雑になったんですが、法律一つとっても世の中には妙なことがらがたくさんあるんだなということがよく分かります。

まーとにかく「世界最高水準」というふざけた法令用語を発見してやや興奮してしまいましたが、もう寝ます。ほんとはもっと制度的に珍しい例を見つけたんですが、それは刑事訴訟法をもうちっと勉強してからご紹介しやす。でわ。