重症担当病院を指定、たらい回し防止…小児救急再編

小児救急体制の危機的状況を打開するため、厚生労働省は、体制再編の基本方針をまとめた。

 責任が行政にあることを初めて明確にしたうえで、重症対応と軽症対応を2種類の病院で分担する体制をつくるよう、都道府県に求める。病院が遠くなることもあるが、重症患者は確実に小児科医に診てもらえるようになり、たらい回しも防止される。同省は、9日の都道府県小児救急担当主管課長会議で、基本方針を通知する。

 小児科医は病院に広く薄く配置され、小児科医が3人未満の病院が半数を占める。親の専門医志向や夜間急患診療所の設備が不十分なことなどを背景に、小児科医がいる病院には夜間に患者が殺到し、医師不足の地域では「3日に1回の泊まり」などの激務も常態化している。

 同省はこれまで、当番病院の輪番制を推進してきたが、導入できたのは全国約400の小児救急医療圏で半数程度。輪番制がないため患者がたらい回しにされたり、輪番制があっても輪番病院の当直医が小児科医でなかったため手当てが遅れたりするケースが頻発しており、集約化を軸とした抜本対策が求められていた。

 基本方針によると、都道府県は、拠点病院として、原則として重症患者に対応する「連携強化病院」と、軽症患者の診療を支援する「連携病院」を、公立病院から指定できる。

 「強化病院」には医師3人以上(目標は4人)を配置し、「連携病院」の医師は、医師会などの運営で軽症患者を診ている夜間急患診療所の応援に出向く。夜間診療所は、現状では大半が午前0時前に閉まってしまうが、実現すれば、風邪、下痢など軽症の患者でも24時間受診でき、肺炎などで入院の必要がある重症の場合は強化病院で専門医の治療を受けられるようになる。
(読売新聞) - 12月7日3時6分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051207-00000001-yom-soci

俺の高校は医者を志すやつが多い。医学部に入った友達に会うたびに俺は「頼むから本気で医療やりたいなら小児科医か救急医になってくれ」といつも言ってきた。だが、残念ながら小児科医を志すやつはほとんどいない。

日本の小児医療、特に夜間の小児救急の体制は非常に危ういことが、近年指摘されるようになった。この記事の中にもあるが、小児医療はとにかく激務。夜間に症状が出る例が多く、夜間の救急への駆け込みが非常に多い。また、子供が自分の症状を的確に医師に伝えられないために、診療が難しいという話も聞く。子供相手の医療であるがゆえの困難がある。しかし、それによって診療業務が激務になる。さらに少子化も手伝って、医師を志す者の間で小児医療は「儲からない商売」にもなりつつある。その結果、小児医療に携わる医者は減少していると聞く。ただでさえ難しい小児医療に救急という要素が加わると、誤診の可能性が高まり、さらに医師たちを萎縮させる。

俺の記憶だと、確か東京都世田谷区では、統廃合の結果、小児救急体制を備えた病院は梅が丘に1箇所だけになったんじゃなかったか。もう少しあったかな。いずれにしても、受け入れ体制が縮小したことで、いざ救急にかかろうと思ってもベッドが満杯であちこちの病院をたらい回しにされるという事態が生じる。

2年前に厚生労働省の業務説明会に行ったとき、講演に出てきたある課長さんに「少子化の問題を本気で考えるのであれば、高齢者対策も重要だが、未来の日本を担う子供たちのケア、具体的には小児医療の問題をもっと大きく取り扱うべきではないか。」と聞いたところ、「現時点で少子高齢化の政策パッケージの要素として大きく考えてはいないが、今後より大きな視点で検討していくべき課題だと思う。」という答えが返って来た。

それ以来厚生労働省がどういう政策をとってきたのか全然調べてないので何ともいえないが、今回の国の基本方針の策定によって、ようやく一つ道筋がつけられた形になった。しかし、これが本当に小児医療体制の充実につながるのかは未知数だと思う。最近でこそ風邪を引きにくい体質になったが、ガキの頃はしょっちゅう熱出して近所の優しい小児科の先生にお世話になってた俺は、小児医療(と眼科…)はほんとに重要な分野だと勝手に思ってる。未来の日本を支える人材の命を救う仕事は、重圧にもなりうるデカさの責任に見合うだけの価値ある仕事じゃないだろうか。

せっかく医者を志すんだったら、ぜひ自分の進路に小児医療という選択肢を付け加えて欲しい。

そんなん言うんやったらお前が医学部行けばよかったやんて話やね。