りんごをかじりたい。

親が年末にニューヨーク行こうぜとか言い出した。どうやら本気らしい。せっかくだから俺も連れて行きたいと言ってるが、俺はたぶん無理だろう。仕事始めたとたんに旅行行きづらくなったのは非常にムカつく。旅行いく金作るために仕事してるってのに、旅行いく時間ないんじゃ本末転倒やんけ。

それにしてもニューヨーク行きたすぎる。最近いろんな本を読んでると音楽やファッションに一流アーティストたちが揃いも揃って

「ニューヨークの素晴らしいところは、他のエリアじゃ30年や40年かかって起こることがここでは24時間で起こることだ。しかし、最近のニューヨークはかつてのような輝きを失いつつある」

とコメントしているのを見かける。だったらなおさら気になる。誰もが憧れる一流の街がどう変わりつつあるのか、見てやりたい。


どうでもいいが、ニューヨークは「The Big Apple」というあだ名を持っているのは誰でも知ってるだろう。けどその由来までは知らんひともいるんじゃなかろうか。

ニューヨークは大都市だから、街路で区切られたブロックがでかくてたくさんある。そのブロックのことを、スペイン語でmanzanaと言うのだが、manzanaは「りんご」という別の意味も持っている。だからニューヨークみたいなどでかい街はLa Gran Manzana。それを英語に直すとThe Big Appele。

ほんとにどうでもいい豆知識でした。


東京にもいい加減飽きてきたのでそろそろ違う大都会に住みたくなってきたアーバニストの俺がいる。だけど石垣島のひっそりした浜辺の脇の丘の上にコテージを建ててのんびりと釣りでもして暮らしたいというナチュラリストな俺もいる。

永遠に解決されないだろう葛藤だが、人為的で開発され尽くした都市と、無垢で手付かずの自然との効率的なミクスチュアをどこかに実現できたらどんなに楽しいだろうと最近思う。


そんな俺の考えていることを、違う形でほんとにやってのけようとしている国がある。

テレビで観たまんまの受け売りだが、石油ビジネスで潤沢な経済力を誇る中東の小国・ドバイでは今、王様の命令で洋上の天国とでも言えそうな一大リゾート開発を進めているらしい。その開発によってできあがったやしの木型の人工の半島は、宇宙からもはっきり見える。宇宙から肉眼で見える人類の建造物は万里の長城だけとよく言われるから、その巨大さが伺える。しかしそのせいでペルシャ湾で採れた真珠の収穫は急激に減少しつつあるという。山から削られてきた白砂が大量に海に投入されるため、海底は一変した。海の生態系もそれに伴って変化しつつある。この大プロジェクトはもちろん「環境にも配慮して」行われている。微弱な電流を流して海中のカルシウムを表面に附着させやすくし、珊瑚礁の基礎となる人工の岩礁を沈めたり、使用済みの航空機を海中に沈めて魚たちの住処にしたりと、様々な手法を用いているという。

すげーことをやるもんだ。まさにオイルマネーのなせるわざである。だがやはりこのプロジェクトも「効率的なミクスチュア」とはなりえないような気がする。


そもそも都市なんか放棄してしまえばいいという極端な考え方もあれば、人間の生きるべきところは都市だけだなんていう逆の極端もありうる。ミクスチャではなく、完全に都市と自然を峻別すべきなのかもしれない。その意味で言えば、新幹線の窓から見ていれば分かるように、切れ目のなく都市が連なる日本の太平洋沿岸にはつくづく嫌気が指す。城砦都市から発達したヨーロッパの町の場合は、荒野や森を抜けたと思ったら突然そこに都市が立ち現れるというパターンが結構多い。街の切れ目がはっきりしている。しかし切れ目がはっきりしているからと言ってそれが人間と自然のいい付き合い方だとは言えないようにも思う。自然とインタラクティブな関係を保った住まい方ができない都市は、おそらく災害に弱い。


何が言いたいのかさっぱり分からない支離滅裂な文章になったが、何となく頭のもやもやが少し晴れた気がするのでよしとしよう。読んでしまった人には「あなたの貴重な時間を盗んでしまってごめんなさい」と言いたい笑