ただいまTOKYO!

1週間ほど、都会の喧騒とは無縁の世界に行っておりました。場所は長野県の某村。面積の8割が山林、15%が農地で、ほとんど商業や工業は発達していない、まさに典型的な「ひなびた農村」。しかし、隣のデカい市とは組まず、「平成の大合併」に飲まれず自立を目指すことを決めた勇気ある村でもある。税収も人口も子供の数も農業生産高も林業従事者数も、ありとあらゆるポジティブな指標が低下し、一方で高齢化率や医療費、放置田園といったネガティブな指標が増加している、まさに「Village at a risk」としか思えない…

…のはずが、1週間の滞在を終えて村の人たちの意識は全く暗くない、むしろ明るいことに気付かされた。何せ、この村のいいところが日を追うごとに次々見つかった。おそらく合併問題に苦慮する周辺のどの村よりもずっと資源的に恵まれている。

良質な温泉がある、しかも安価で利用できる、温泉周辺の旅館も老朽化は否めないがサービスは非常に良い、村を一望にできる絶景ポイントがある、そこからパラグライダーで上空から盆地を見渡すこともできる(チキンな俺たちは当然パラグライダーなどやるはずもなく)、農作業やそば・うどん打ちなど体験型観光も可能である、豊かな自然を利用したレジャー施設も整っている、国宝もある、などの観光面でのメリットに加え、

道路・河川・役場、教育・福祉施設などの生活インフラは非常に質の高いものがすでに整備されていて、今後は予算配分をソフト面に振り向ける余裕が十分ある(←村長の認識)、実際、小学校・中学校は子供たちの学習意欲を引き出すようなカリキュラム設定がよく工夫されており、福祉施設に関しても、入所者2人に対し職員1人が対応できるという手厚い状況にあるなど、生活面でのメリットも大きい。

そして、この村には強烈な個性を放つ和太鼓の文化が力強く息づいている。大人子供合わせて40人前後が今、定期的に合同練習をやっており、和太鼓としての腕前は長野県代表として全国大会にも出場したほどのレベルで、中国や韓国、ヨーロッパ各国、ブラジルなどたくさんの国から招待されて海外公演や講習会を行った経験もあるなど、非常にレベルの高い演奏力。そしてやはり15人編成でやるので迫力がハンパじゃない。体の底に響く太鼓のリズムはいやがおうでも気持ちが昂ぶる。俺たちも一緒に太鼓を叩かせてもらった。リズム感ゼロで有名な俺ですら、みんなで一曲やってるうちに気持ちが解放されてものすごいテンションが上がった。汗もめちゃくちゃかくからダイエットしたい人にもお勧めw。


そして小さな村なだけあって、人がみんな優しい。村営バスでもいろんな方と気さくにおしゃべりする機会があって楽しかった。俺らの立場を知らない人たちですら、とても親切にしてくださった。やはり最大の資源は「ひと」にある。


問題は、この村の行政職員や村民自身が、これらのメリットを組み合わせて強力にアピールしていこうという意志があるか否かということ。

この点こそ村の人たちが真に考えるべき点であって俺たち外の人間がどうこう言える筋合いはない。まさに村の将来像を決定する問題である。果たして、こののどかな農村を「活性化」させることが望ましい姿なのか。おそらく村民の意志は揺れるだろう。しかし、自立を目指すということは財政的にも自立ができていることが第一条件となる。となると、新たにこの村に流入してきてほしい人々というのは、若く、子供のいる世帯がメインになろうが、村の小さなコミュニティに属する上での義務もきちんと果たせるひとたちということになるかもしれない。そういう人たちは一朝一夕では発見できない。この村にリピーター観光客のような形で取り込んでいき、除々に定住化を…そのためには…。

って、あー、実現可能性薄い…。

まぁいいや、要は俺はこの村がめちゃ好きになったということ。


この村を離れたあと、せっかくなので松本と天竜川を旅してきた。まじ素晴らしい。


それにしても夜はサッカーざんまいの1週間でした。ブラジル戦惜しかったなー…このコンフェデ杯ほどアグレッシブな日本代表を観たことわない。とにわか似非サッカーファンは言う。