真珠の耳飾りの少女

('02英、監督:ピーター・ウェーバー、主演:スカーレット・ヨハンソンコリン・ファース

静寂の光の画家、フェルメールが1665年ごろに描いた「Girl with a Pearl Earring」(真珠の耳飾りの少女とか、ターバンの女とか言われたりする)。

「どこか怯えたような、少し驚いたような、それでいて落ち着いた少女の表情は、一体どのように描かれたのか? 本作は、その疑問にロマンティックな答えを出したベストセラー小説を、忠実に映画化した作品。実際にモデルとなった少女は誰なのか明らかではないが、この物語ではグリートとフェルメールの間に生まれる信頼と尊敬、愛の感情を豊かに描き出し、愛のエピソードを作り上げた。」(goo映画より引用)


一つ一つのシーンが全て、まるでフェルメールの絵のように、ほの明るい光と薄暗い影の両方で艶やかに描き出されている。

どう頭をひねっても「セクシーな映画」という誉め言葉しか思いつかない俺はアホだろうか。もちろんストーリーも画家と使用人のイケない恋がテーマなので官能的ではあるが、やはり情景そのもの、光の使われ方そのものがセクシーだといいたい。いい意味でね。

中心的舞台となるフェルメールのアトリエ内での撮影は異常に気を使っている。光の入ってくる窓に対して正面に近い方向からの撮影は必ず引きで撮ることでアトリエ全体のぼんやりとした陰影を強調しているのに対し、少女を近距離で撮影するときは必ずと言っていいくらい窓に対して横から撮ることで少女を中心に発生する光の鮮明なコントラストを強調している。

観ているだけでうっとりできるくらいきれいな映像の連続だが、いかんせん静かすぎる映画で睡魔が大量に攻め寄せてくるので注意。俺は3度目のチャレンジでやっと最後まで見れました…。

どうでもいいけど、ぶさいくでプライド高すぎの嫁さん役を演じたエッシィ・デイビスは注目に値する女優だと思った。本作における彼女の決め台詞「Get out of my house!」は久しぶりに魂のこもった演技を観れたと思った。ものすごい役者さんだ。舞台経歴も長いらしい。調べてみると何とマトリックスの2作目、3作目に出てたとゆーじゃないですか…。一体どこに出てたんすか…。

それから、映画の途中で「カメラ・オブスクラ」なる謎の装置が登場しますが、どうやらこれがフェルメールの「白を使ったハイライト技法」を生み出すきっかけになった模様。ふーん。(はてなキーワード参照)

フェルメールと言えば、3年前にアムステルダム国立美術館に行ったときに、最初フェルメールの「牛乳を注ぐ女 The Kitchen Maid」が見つからなくてそのまま外に出てしまったのだが、ガイドブック見直したら素通りしてたフロアがあることに気づいて、半券を何食わぬ顔で出して再入館して見に行ったことがある。寛大な国だ。