隣のリッチマン

('04米、原題:ENVY、監督:バリー・レビンソン、主演:ジャック・ブラックベン・スティラー

「嫉妬するとろくなことにならないよ」という教訓を、底抜けにご機嫌なジャック・ブラックと、おどおどしてばっかりのベン・スティラーの絶妙のコンビが教えてくれる2時間のドラマ。

何か知らんけど、むちゃくちゃな話だ。意味の分からない展開、張ったままほったらかしの数々の伏線。

だいたいベン・スティラーの嫁役で出てきたレイチェル・ワイズ(「スターリングラード」でジュード・ロウの恋人役を好演)に至っては、何を考えて行動する人間かさっぱり分からない。突然家出したかと思えば「お金より大事なものがある」とぬかしてすぐ帰宅、かと思えば「やっぱ金が一番」と夫を駆り立てる。もうむちゃくちゃ。

でもとりあえず話は強引に「ねたみの気持ちは正直に打ち明けよう♪」へと収束していく。むちゃくちゃだ。

唯一この映画で単線的なキャラクターだったのがやはりジャック・ブラックだった。底抜けに前向き、失敗は恐れない、大成功して金持ちになっても偉そうにしない、友人にどんなひどいことされてもちっとも怒らない。とにかく心が広すぎる。普通だったら異常なキャラクターなはずのこの人物設定が、世界観自体がおかしなこの映画の中ではむしろまともに見えてくるから不思議である。


冒頭のくるくる回転映像は主人公のふたりが公私ともに仲が良いことを印象付ける上でとてもおもしろい演出だった。


とりあえずウザいこと忘れて元気になりたいひとは、「スクール・オブ・ロック」と併せてどうぞ。