カサ・エスペランサ〜赤ちゃんの家〜

('03米、監督:ジョン・セイルズ、出演:マギー・ギレンホールダリル・ハンナほか)

変なタイトル…。原題はCasa de los Babies。「希望の家」という邦題のつけ方は映画の内容を見る限り皮肉にしか思えない。

正直言ってつまらんかったのでお勧めしません。全くドラマとしての迫力に欠ける。
この映画はきわどいテーマを扱っている。7人のアメリカ人既婚女性たちが養子候補の赤ん坊を探しにメキシコにやってきて、赤ん坊をもらいうけるまでの日々を淡々と描いた作品。なかなか養子認定が降りない中、彼女たちの焦りと不安は募るばかり…。

しかし、そこに何かクライマックスがあるわけでもなく、登場人物の心情の変化を深くえぐりだそうという意欲もない。ただ漫然と多数の登場人物が出てきて、それぞれの(本来なら多面的であるはずの)人物性が全く掘り下げられないまま、彼らがやりたいことをやっている世界だけが描かれていた。

製作者は何が面白いと思って、映画を撮ったのか。おそらくは、養子をもらうということで、「実母」にはなりきれない女性たちの、母親になりたいという切実な気持ちを描きたいと思って作ったのだろうが。しかし、物語を台無しにしてしまうような無駄な人物を出したり演出をしたり、せっかく目のつけどころはよかったのに何か方法論が間違ってる気がする。

問題はやはり登場人物が多すぎること。俺ならせめて3人に絞る。7人というのは多すぎる。ひとりは過去に死産の経験が何度もあって、どうしても子供がほしいが、それをあまり顔に出さない女性。もう一人はもっと考え方が単純で、ただ子供と過ごす楽しい日々に思いをはせ、心をときめかせる女性。他はいらない。3人の心の揺れ動きの違いが明確に現れる。そうすれば、この映画が描きたかったはずの「母親」のイメージをしっかり観る者に伝えることができたはず。

決してバカにならない制作費もかかってるだろうにもったいない。ダリル・ハンナってキル・ビルユマ・サーマンに目玉えぐりとられた悲惨な女剣士でしょ。


今回はミスった。スペイン語だからといってあっさり借りてくるもんじゃない。

スペイン語といえば「モーターサイクル・ダイアリーズ」が見たい。俺のオールタイム・イチオシ映画「セントラル・ステーション」と同じヴァルテル・サレス監督ということを昨日知ってさらに見たくなった。もう随分前に公開された映画だからまさか上映してるところはないだろうと思ったら、目黒シネマで短期間だけやってるようだ。目黒シネマ…うをー。