久保先生やっぱすげぇよ

北アメリカ―アメリカ・カナダ (国際情勢ベーシックシリーズ―ニュースを現代史から理解する)
アメリカ政治外交史の試験はとっくに終わったというのに、こないだの試験勉強で先生の分厚い本の後半部分を読みきってなかったので読んでみた。

試験は結局第二次大戦終了時までからの出題だったので、前半しか読まなかったのはある意味怪我の功名。

で、やっぱ戦後のアメリカ政治のゆくえが気になったので一気に読んでみた。


おもしれー・・・そりゃ3分の1は高校で習ったよーなことばっかだけどよ、久保先生の構成力はまじですげぇ。複雑なアメリカの戦後政治の流れを、きちんと各政権ごとにセクションを分けながら、かつ内政と外交を分けて扱いながら、しかも中間選挙予備選挙の過程まで盛り込みながら!、実に分かりやすくクリントン政権までのアメリカ社会を描いてくれとります。

しかもめっちゃ分かりやすい文章やし。さっさと買っときゃよかったよ。


ただ、ウォーターゲート事件の経緯を詳細に書いてるのは他の記述の細かさからすると不自然にも思えるが、戦後肥大化していた大統領権限に対して議会が盛り返していくきっかけになったという点でアメリカ史のひとつの時代の終わりを意味する、という彼の考えからすれば納得できる。


それにしてもベトナム戦争終結に導くために展開されたニクソンキッシンジャーの対中国政策のエピソードは何べん聞いてもすげーなぁと思ってしまう。今からみれば中ソ対立を利用すれば簡単にことは収まりそうやんけ、と素人でも思いつきそうなもんだが、それこそコロンブスの卵である。敵対陣営に対する疑心暗鬼と核戦争エスカレートの恐怖が渦巻く当時の状況下で、イデオロギー上の敵を自分に有利なカードの一つに変えるべく接近していく、という彼らの冷徹かつ大胆な国際政治のセンスは、それが道義的に正しいかどうかは別にして、やっぱり賞賛に値すると思う。


てわけで久保先生の授業きちんと出ときゃよかったと後悔。でも実は放送大学の授業をテレビで何回か見てたり。そんときに↑の本の編者でアメリカ政治の第一人者?の阿部先生も共同講師で出てたわけだが、えーと…。とてもこの本の前半部分をお書きになったような方には見えませんでしたなぁ。ブッシュ対クリントンのときの選挙戦について久保先生からコメント求められたときも、??な意見をおっしゃってたし。うむ、まぁしゃべりと文章でキャラが一致しない、ということだろう。

それから、アジア政治外交史は授業が1949年に入る前で終わっちゃったのでなんかいい本ないかなーと図書館を探してたら、2004年版の放送大学のテキストで、ちょうど1949年からの東アジア政治を扱った教科書があったので借りてきました。巻頭の辞を読む限り、ものすごくいい本な感じがします。放送大学のテキストって結構良く出来てるよな。比較政治の本もなかなかよかった。でも借りてきたはいいけど、ほんとに読むかな…汗。試験期間終わったら一気に熱意が冷めそうな予感大。