フル・モンティ

('97英、監督:ピーター・カッタネオ、主演:ロバート・カーライルほか)

ロバート・カーライルにひかれて借りてきた。フェイスは前に借りたのに見ないまま期限が来て返しちゃったので今回は確実に見そうなのから借りた。


フル・モンティ自体はブロードウェイでもやるくらいの超有名ストーリーだから説明不要だと思うけど、やっぱり俺が魅せられたのはロバート・カーライルの名演技。

この映画でもトレスポのべグビーと同じくかなり気性が荒くて神経質でケンカっぱやいキャラを演じているが、一番違うのは心根がすごく優しい点。べグビーは底まで腐った人間だったからね(唯一の救いはドラッグやってないことくらい)。フル・モンティでは別れた妻に引き取られた子供に愛情を惜しみなく注ぐダメ親父の役柄。

子供を学校に迎えに行ったら、前妻も来ていて無残に追い払われたあと、悔しがりながらそばにあった電柱をバンと平手打ちしたシーン(たぶんアドリブ)を見て、ほんとこの人、人間の心ってものを知ってる役者さんだなーと思ってしまった。トレスポの記事でこの人、目が違うと書いたが、完全に演じてる目じゃない、役の人間そのものになりきっている。べグビーのときの目は完全にイッてる目で、常に何かにイラついてるというのがありありと伝わってくる。今回は、何かにおびえたような目を終始していて、追い詰められてほんとに背水の陣で必死なんだけど子供だけは自分の手から離したくないという哀れな男の目。


何かどうもうまく書けないのでこの辺にしとこう。


デブのデイブ(役者はマーク・アディ)があまりにいい味出しすぎてて、クライマックス直前の彼と奥さんのやりとりのシーンで軽く泣いてしまった。


ほんといい映画です、これ。
同じスコットランドの労働者街の男たちを描いた「ブラス!」('96)みたいな、妙に卑屈な明るさではない点も、逆に見ていて気持ちいい。(もちろん俺「ブラス!」大好きだけど)


やっぱ人間最後に残るのは、裸の勝負しかねーってことですな。


でわオヤスミ。