悲しみは星影と共に(Andremo in Citta)

('65伊、監督:ネロ・リージ、主演:ジェラルディン・チャップリン、フェデリコ)

深夜の「映画楽園」でやってたのを徒然なるままに。

ナチス占領下のユーゴスラビア。収容所送りとなったユダヤ人の父は不在、母は先逝、弟は盲目、街はナチスの影響力が強まりつつある、という苦しい状況下で、パルチザン兵と密かに淡い恋をしながらも、健気に弟の世話をして懸命に生活を続ける姉。しかしその生活もやがて…。


戦争という暗い世界が「見えない」弟のために、ウソを突き続ける姉のお話。ラストのシーンはもうやめてくれと言いたくなるくらいに姉弟愛が見せ付けられる。


うーん、悲劇です…。


ヨーロッパにおける第二次大戦の記憶、悲劇を扱った映画で、俺がここ数年で見たものといえば、こないだここに書いた「戦場のピアニスト」('02)のほかに、世間ではなかなか評判の高い「ライフ・イズ・ビューティフル」('98)、クリスティーナ・リッチジョニー・デップが共演した「耳に残るは君の歌声」('00)、密告者側の苦悩を描いた「バティニョールおじさん」('02)があるが(他にも観た気がするけど思い出せない)、最後の一つ以外はなぜかあまり好きになれない。最初から悲劇だと分かりきった映画は俺にはダメなのかもしれない。もちろん悲劇には弱い子なので涙腺は熱くなるんだけどね…。

「バティニョールおじさん」は迫害される側の物語ではなく、迫害に加担してしまったことを後悔して逆に村八分に遭いそうになった中年男という、ちょっと異色の設定だったのが俺には面白かったのかもしれない。


いま気づいたけど、いたいけな子供に対して、戦争の悲惨さを知らせまいと必死に大人がウソをつき続けるという「悲しみは星影と共に」のメインフレームは、「ライフ・イズ・ビューティフル」のそれと全く一緒だな。


この映画はお話がどうこうというより、盲目の弟役をこなしたフェデリコという少年の名演技が光る。「ニュー・シネマ・パラダイス」('89)の主人公のガキんちょ時代を思わせる。てか顔そっくり。

そして主演のジェラルディン・チャップリンチャップリンの娘。本作と同年発表の「ドクトル・ジバゴ」にも出演)は、見る角度によってえらく美人にだったりぶちゃいくにだったりする不思議な役者さんであった。調べてみると、この前観た「トーク・トゥ・ハー」('02)に出てきたしわくちゃのダンス講師もこの人だったんだよな。。かれこれ40年も役者人生続けてるなんてほんとすごいなぁ…。


あと俺は映画の技術史のことを全く知らんので誰か教えてほしいんだが、撮影後に、後録りしたセリフをかぶせる手法はいつまでやってたの(=カメラの集音マイクの精度が上がったのはいつから)?この映画もたぶん先撮り・後かぶせだと思うんだけど、ラストの、姉が弟に語りまくるお涙頂戴シーンは、セリフのかぶせがちょっとうまく行ってないのでやや興ざめなのが心残り。姉の顔はわりかしテンション低めの表情なのに、声の方がやたらテンション高くてアンバランス…うをージェラルディンうをー…