ファインディング・ニモ

('03米、監督:A・スタントン、声優:A・ブルックスほか)


ほんとは去年の年末に映画館で観るつもりだったけどそのときちょうど俺が学生証を紛失していたもんで見るチャンスを逃してしまった(意外と俺らはケチくさい)

感想はですね、

すごくおもしろかったし、話の展開もスムーズで、キャラクターも仕草とかすっごいかわいいし、ピノキオではいまいち表現しきれなかったクジラのおなかの中の様子とか海流の様子とか実に想像力豊かな描写が多かったし、K子が言うように実は現代社会が抱える問題(子離れできない親、戦争後も放置されてる機雷と潜水艦の残骸、海洋汚染、そして人間対魚の共存可能性などなど)を極めてシンプルなイメージで表現してて分かりやすいし、いい映画だと思う。

ただ、連日の官庁訪問とその後の飲みで疲れてたのかな、あんまし心に残るほどの印象を受けなかったのがやや残念。

でも、ピクサーの一連の作品に通底する哲学は、おそらく
現代社会を、人間ではない存在、それも人間よりサイズの小さい存在の「目」を通してコミカルに描いてみよう
というものだろうと改めて感じた。

バグズライフにしてもトイストーリーにしてもニモにしても、いずれも虫やおもちゃや魚といった小さな存在が、人間社会との接点でどのような困難に直面し、そしてまた自分自身の抱える悩み(トイなら「自分はしょせんおもちゃでしかない」という葛藤、ニモなら「子供にはできるだけに何も起こってほしくない、安全な生活をさせてやりたい、だけどそれじゃダメ」という葛藤、バグは内容忘れちゃった汗)をどう解決していくかのプロセスを描いている。

ミクロな主体から観た世界という視点も十分おもしろいけど、これらの作品が俺らにうったえるのはなぜかといえば、俺ら人間より小さい存在なのに、それでも自分自身と向き合って自我を確立していこうとしている彼らの健気な姿が描かれているからかもしれない。

これは間違いなく「小さな存在」としての子供の共感を呼ぶし、自我と戦う彼らの姿は大人の俺らにも語りかけるものがある。


まぁこんな感じですかね。