アメノチハレ


テレビつけたら『離婚弁護士』やってた。



今日は、父に死に別れた一人娘の遺産相続の話。

ガンで入院していた唯一の家族である父が死んでしまった。娘は店を継いで頑張っていこうと思っていた矢先、葬式の会場に今まで連絡もとってなかった父の兄夫婦が現れ、全財産の相続権を主張してきた。そして彼らの主張には十分な理由があったのである―――――――。

法律、特に家族法なんてとくに冷たいもんで、結構シビアな規定が多い。


この娘が仮に実子なら問題なく法定相続権が発生して遺産は全部この子に行くはずなんだが、実はこの娘、母の連れ子で父の実子ではなかった。しかも養子縁組をしていなかったために、戸籍が変わっておらず、相続権が認められない。さらに不運なことに、父は遺言を残さずに死んでしまったから相続権はどう考えてもない。兄夫婦はそこを突いてきたというわけだ(戸籍をちゃんと調べてから葬式会場に来ていたというのがまたウケる)


この娘は病床の父をずっと面倒見てきたにも関わらず、いざ父が死んでみると、突然実の兄が出てきて遺産だけ持っていってしまう。父との思い出がいっぱいの家も自営のケーキ店も何もかも。


法律なんてそんなものなのか。


依頼を受けた弁護士(天海祐希)も最初、「相続権ないんならこりゃ無理だろ」と思ってたところ、雑用係のバイト(ミムラ;この娘の親友)の「法律じゃどうにもならないことを解釈で何とかしていくのが弁護士なんじゃないんですか!」という熱い一言にココロ動かされて本気を出す。




そこで苦心して考え出したのが、死因贈与契約の存在を主張するという方法。
(たぶん実際はどの弁護士もこの方法知ってるから「苦心」なんてありえないんだろうが)



死因贈与ってのは、俺が死んだらこの家あげますっていう契約なので、もし生前にこの契約のやりとりを示すような物証が見つかればしめたもの。別に贈与は口約束でもいいが、他人に契約の存在を主張するとなると物証がないと厳しい。


そこで何か物証がないかと探し出したのが、娘が大学時代に留学していたときの父とやりとりした手紙。運よく父も娘からの手紙をきちんと保管していたからよかったものの、父がずさんな男だったらアウトだった。


で、その手紙のやりとりがまた不自然極まりない。


「元気でやってるか。・・・お前は俺が死んだらきちんと1人で生きていかないとダメだぞ。俺が死んだら家も店も思い出も、全部お前が引き継ぐんだ。そのときのためにアメリカでしっかり頑張りなさい」



「そうだよね、お父さんが死んだら家も店も思い出も、全部私が守っていかないといけないんだよね」

どこの世界にこんなやりとりする親子があるというのか。



何はともあれこれで契約の申込と承諾が有効にあったとみなされて、死因贈与契約の存在を他人にも主張できるわけだ。


で、弁護士は裁判に持ち込むとややこしいというので和解に持ち込み、
死因贈与の目的物が家と店だけだから、他のものはいらないという条件でカタをつけた。


今回は相手が兄でよかったなぁ。

もし実は他に父に実子がいたとか、父の父母(じいさんばあさん)がまだ生きてたとかだと話はそう簡単には収まらない。こういった人たちは遺留分権利者と言われ、死因贈与契約に対しても遺留分減殺請求ってのができるから、彼らとしては裁判に持ち込んで「家と店の一部は俺のもんだ!でなけりゃその分の金払え!」とも言えたわけで。


※この遺留分権利者は法定相続人のうち配偶者・子・直系尊属に限られ、兄弟姉妹は除かれているので、今回のケースはある意味ラッキー。


ややこしいねぇ、遺産関係の話は。てゆーかほんと見苦しい。俺の子孫や親族には遺産なんぞで争いを起こしてほしくないね。まぁ争うほどの額も残ってないだろうけど。エアジョーダン全色集めるとかで金使い切ってて。で、エアジョーダンは誰にも譲らん!!とか俺言いそうだからな。(狂)


俺、家族法きちんと勉強したことないのでドラマ見たまんま書いてますが、間違ってたら教えてくらさい!!それから、死因贈与契約ってのは相続とは全く別物なので、「苦心して編み出した」といっても相続関係の規定の解釈から出てくるもんじゃないです。
民法554条で贈与の一形態として普通に規定されてるものなので。
ミムラの言葉に動かされてってくだりを字義通りに受け取らないでください、あくまでこれはドラマなので。