La lengua de las maripozas(99、西)

ほんとは友人イチオシの『ミツバチのささやき』が見たかったが、うちの近くのツタヤはおいてる映画の質がしょぼい(何て偉そうな)ので、仕方なくかわりに『蝶の舌』を借りてきた。

どっちもスペイン内戦を背景にした映画。
タイトルが虫に関係ある点でも共通してる。


はっきり言って


惜しい。


惜しすぎる。



何がって、テーマを広げすぎてて、結局一つ一つを描ききれてない。

それもそのはず、マヌエル・リバスが書いた原作は『蝶の舌』(表題作)を含めた短編集で、映画化の際に、この短編集の中の他の作品も「蝶の舌」に混ぜ込んでいたからである。

商売女カルミーニャの話、兄アンドレスのサックスの話は、原作の『蝶の舌』自体にはない。

リバス自身は「確かにあの3つの話はどれも同じ方向性を持っていて、互いに織り込むことができるんだということに僕自身驚いている」と映画の手法を評価していたが、俺にはどうも広きに失するという感がぬぐえない。

でも、映像はものすごいきれいだった。
北のガリシアを舞台にしているだけに、いまのカスティージャ地方ではありえないくらい美しい自然が映し出されていた。
グレゴリオ先生とモンチョが森へ虫取りにいったときにヨーロッパミヤマクワガタが出てきて「うをー」と思ってしまった。
このクワガタはめったにお目にかかれない、欧州大陸で最大級の種。
俺も自然に生きているのは一度も見たことがない(森の近くへ行くたびに木の周りを探してたけど)
クワガタのことを「シカの角」と呼ぶあたり、日西の文化の違いを感じる。


小学校の様子や休み時間にサッカーに興じる少年たちの姿、家庭での生活(食事)、カルナバルの様子などスペインの文化が正面から描かれている。

『Todo sobre mi madre』や『ガウディ・アフタヌーン』はどっちもホモやらゲイやらの、ネタとしてはかなりキワモノを扱った映画で、あまりスペインの一般的な生活を描いたものとは言えないが、その点、蝶の舌は現代でも見かけるスペインの様子が映し出されていていい。

こないだのレポでスペイン内戦のことを勉強しただけに、刻々と迫り来る内戦が人々の生活にどういう風に影響を及ぼしていたのかを具体的にみることができてよかった。


まぁエンディングは俺はあまり納得行かないけど。