酒井啓子氏の講演

昼、学校で酒井啓子氏の講演会。

財布忘れて一度家に戻ったりしていたので20分遅刻し、入り口で「立ち見」と言われたが、運良く前の方に空席を見つけられた。

参加者の年齢層がやばい。
圧倒的なじじばばと、少数の俺らくらいの年齢層のみ。
平日の昼間なので聴きにこれるような暇人の年齢層はこの2つなのかもしれないが、その二極分解さに相当焦った。


講演の論旨は、

イラク人のニーズをきちんと考えなければいけない
・現時点での米英主導の復興支援体制は有効でない
・場当たり的な政策でなく、イラク全土を視野に入れた総合的な復興プランの構築が必要
・とすると、今行われている自衛隊の活動も実効性があるとは言えない
・なぜなら、他国の軍隊がどの街に配備されているかを見ても、サマワでの自衛隊の活動がイラクにもたらす利益は極めて小さい
・イギリスがなぜアメリカについているかというと、一つにはともすれば単独主義になりがちなアメリカの行動を制御するという目的がある
・日本も「同盟国」というのなら、イギリスが負っている役割をともに担っていく必要がある
・そのためのリソースは、日本の「外交力」にある(がそれは乏しい)
・あるいは、フセイン時代の日本イラク関係の実態を踏まえ、政府間協力ではなく民間ベースの支援が望ましい。
・ただ、民間が現地へ入るのは困難だが、逆にイラク人が日本へ来るのは簡単なので、日本でノウハウを習得させてイラクへ送り返すプログラムを作るのが有効。

という感じ。
(内容に間違いがあるとしたら俺の責任)


ほんとに話の上手な方だった。
F先生のような落ち着いた、視野の広い語り口がいかに彼女が知的であるかを物語っている。
中東専門家ならではの裏ネタ的エピソードもまじえながら、おもしろく語ってくれた。
また、質問コーナーは当初10分の予定だったのに結局40分つきあって下さった。俺は質問できなかったが、周囲の質問者は案の定「すごい」人ばっかで、質問内容も「すごかった」。
にも関わらず、一つ一つ丁寧に答える彼女の誠実さに感銘を受けた。