オリンピックにふさわしい街へ

結構興味深く見てた↓のニュースですが、何かいまいちよー分からん結果やなぁ…。だいたい「大気汚染指数」ってどういう基準で測定しとんねん。誰か中国語のもう少し詳細なリソースがあれば(和訳の上)紹介してください。

しかし奇数ナンバーと偶数ナンバーを交互に走らせるというアイディアは強烈だ。そしてそれをやってしまうところがもっとすごい。別にこれをやれというつもりはないし、大気汚染は車両設計の技術力でかなりカバーできるところまで来てる以上は、むしろ都心の渋滞解消の観点と公共交通の役割の見直しの観点から考えるべきなのだろうが、ノーマイカーデイの域をなかなか脱出できない日本にとってはやはり参考になる先行事例だ。



ちなみに、都心の混雑解消法として最近注目されたのが、東急田園都市線の朝のラッシュ時における急行列車の廃止である。

ラッシュ時は誰もが速い電車に乗りたいと思うので、かえって急行列車の乗車率がアップして乗り降りにかかる時間が増加してしまう。あるモデル計測では、トータルで見た場合、急行を導入している場合は、しない場合に比べて乗車時間が2〜3分程度長くなっているという。ここである意味逆転の発想として登場したのが「急行の廃止」である。田園都市線の場合は、急行を廃止しして、それをすべて準急に変え、二子玉川→渋谷の間の各駅に停車するダイヤに改正した。これによって急行を選択していたひとが、前後の時間帯に流れる。混雑の波が平準化され、列車の乗降に要する時間が短縮され、結果としてトータルの乗車時間が短くなる。

この手法は、乗客個々人から見れば、急行を選択できなくなるため、乗車時間が伸びるひとも出てくるが、利用者全体で見た場合には、乗車時間が短縮され、輸送の効率性が増す。こないだNHKのSCIENCE ZEROという教育番組でもこの取組みが紹介されていたが、急行廃止前と廃止後ではホームに滞留しているラッシュ客の数に明確な差が現れていた。

ただ、↓に紹介した日経の分析でも指摘されているが、これは単に「混雑の平準化」であって、混雑そのものを解消することにはならない。また、全体的な効率性の追及の背後で、急行を選択したい人間にとってはミスマッチが継続する。

しかし、①複線化による物理的な解消を図るという方法と比較すると、ダイヤ改正だけで済むので、鉄道事業者が負担するコストが小さいこと、②少なくともオフピーク通勤という社会全体にしわ寄せの行く手法を取るよりは、鉄道事業者だけが行動を変更すればよいので、社会的なコストも抑えられる可能性があるということを考えると、ソフト面での混雑解消法として検討の価値はあるかもしれない。また、東急の場合もそうだが、こうした鉄道事業者が利用者の増加策の一環として沿線の都市開発を進めてきたことを踏まえると、総合的な都心居住対策の手法として鉄道事業者自らが主体的にこうした方法の是非を研究していく必要があるのだろう。

大気汚染緩和の効果を確認=五輪へ向けた交通規制実験−北京
 【北京20日時事】中国北京市環境保護観測センターは20日、来年8月の北京五輪に向けた実験として同日まで4日間実施された交通規制により、大気汚染緩和の効果が確認されたことを明らかにした。新華社が報じた。
 北京市ではナンバープレートが偶数、奇数の車両を一日置きに通行禁止とし、通行量は4日間で計約500万台分削減された。この結果、規制前日の16日に116だった大気汚染指数は91、93、95、95に下降。市内の大気の質は「2級」(かなり良い)となった。
2007/08/20-23:15 時事通信
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2007082000962

北京の大気汚染、大規模交通規制で改善?…市「効果ある」
 【北京=竹内誠一郎】北京五輪期間中の大気汚染改善に向けた実験として、北京市が17〜20日に実施した大規模交通規制により、「空気の良い日」が全4日間にわたって続いたと、20日付の地元夕刊紙「北京晩報」が報じた。
 市は、プレートナンバー末尾が奇数の車と偶数の車を交互に通行禁止にするなどし、毎日、約300万台の自動車のうち約130万台を規制。5段階の大気汚染指数は4日間すべてで上から2番目に良い「2級」だったという。
 同市では「2級以上」の日が昨年で241日あり、このレベルの指数は珍しくない。しかし、この4日間は曇天と弱風が続き、汚染物質が滞留しやすい条件だったにもかかわらず、指数は日ごとに改善されたという。市の当局者は「効果は確実にある」と語った。
 ただ、市内は相変わらず遠くが白くかすみ、「見た目」には通常と大きな変化はなかった。この日、五輪テストイベントのアーチェリー大会に参加した日本選手は「規制が行われているそうだけど、やはりノドが不調です」と、マスクをつけて臨んでいた。
(2007年8月20日21時30分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070820id24.htm

最前線リポート 通勤ラッシュはなくならない?
輸送力はすでに限界、打つ手なしか?

首都圏の鉄道各社が元気だ。都心回帰や景気回復の流れもあり、07年3月期の決算では、多くの私鉄が過去最高益を記録。利用者数も増加しており、輸送人員の低下に悩まされてきた一部の鉄道会社も、復調する傾向にある。
 その一方で、朝ラッシュ時間帯の混雑は依然として激しい。混雑率にして200%前後という区間もあるほどだ。
混雑率は、座席に座れるか、つり革やドア付近の柱につかまれる状態で、おおむね100%。これが200%ともなると、体が触れ合い、圧迫感が相当ある状態になる。しかも、各社の出している混雑率はラッシュの各列車・各車両の平均であるから、体感的にはそれ以上の混雑になることもザラだ。
 今、最も混雑する路線として名をはせるのが、東急田園都市線横浜市や東京西部と渋谷駅を結ぶこの路線は、渋谷駅に近づくほど混雑が激しくなる。最混雑区間の池尻大橋ー渋谷駅間は、ピーク1時間の平均混雑率が196%。首都圏の私鉄では際だって高い。
 原因には、沿線イメージの良さからくる高い人気と、人口の増加が挙げられる。「藤が丘、青葉台長津田といった、都心から比較的遠い駅の周辺でも、マンション価格が下落せずに推移しており、人気を如実に示している」(不動産シンクタンク・東京カンテイの中山登志朗主任研究員)。
 実は昭和30年代当初、東急電鉄は自社で開発した地域の将来人口を33万人程度と予測していた。それが現在では、約58万人。さらに2025年ごろまで増え続けることが予想されている。
 混雑にさらに拍車をかけたのが、急行列車の存在。二子玉川以遠の駅を利用する乗客が、少しでも早く都心に着きたいがため、急行に集中。そのため急行は、列車によって混雑率が200%を突破することもしばしばだった。
 こうした状況を改善すべく、東急電鉄は4月にダイヤ改正を行った。朝ラッシュ時間帯の急行列車を、すべて準急に変更。二子玉川から渋谷までの各駅に、すべての列車が停車するダイヤに切り替えた。これにより、一部の列車への混雑の集中を防ぐことができ、混雑の緩和が図れる。ダイヤ改正から約3カ月がたち、「徐々に狙った効果が出てきている」(東急電鉄)。
 同様のダイヤ改正により混雑の平準化を図っているのが、東京メトロ東西線だ。段階的に朝の快速電車を減らし、この春からは朝ラッシュ時間帯のすべての快速列車が“格下げ”となった。
ただ、田園都市線東西線のこうしたダイヤ改正では、列車の本数自体は増えていないため、根本的な混雑緩和にはつながらない。狙いはあくまで、混雑の“平準化”にある。
 「これまでの急行列車のように混雑率が200%を超えると、急病人の発生やドアに引き込まれるといったトラブル発生の懸念が高まり、大幅な遅れが発生する原因ともなる」(東急電鉄)。安定した輸送に支障をきたすほどの混雑を防止するため、乗客を分散させるという意味合いが強いのだ。
 そもそも列車の本数を増やせばいいように思えるが、「現状でも列車と列車の間隔は非常に詰まっており、これ以上の増発は難しい」(東急電鉄)。実際、朝ラッシュ時の田園都市線は、1時間当たり29本もの列車が走る。ホームに来た列車の後ろに、後続の列車が待っているのが見えるほどだ。
 こうなると、列車の本数を増やすには線路を増やすしかない。上り線、下り線それぞれを“2車線”にし、次々に発着できるようにするわけだ。このように線路を増やす工事は「複々線化工事」と呼ばれる。
 現在、大規模な複々線化工事を進めているのが小田急電鉄だ。一部区間はすでに完成済み。新宿寄りの区間がまだ複々線化されておらず、大幅な増発には踏み切れていないものの、「残りの工事中の区間が完成すれば、さらなる増発による混雑緩和が図れる」(小田急電鉄)。
 すでに20km近い区間複々線化した東武鉄道伊勢崎線では、1時間に最大44本という、圧倒的な本数の列車が走っている。ピーク1時間で大手他社と同規模の約7万人を運びながらも、混雑率は150%を切る水準。このことからも、小田急線の工事完了による効果は、かなりのものが期待できそうだ。
 新型車両の導入も、混雑緩和にある程度の効果を上げることができる。JRは以前から、従来型よりも幅が広く、定員の大きい車両を積極的に導入。中央線に続き、今年は京浜東北線にも最新型の車両が配備される予定だ。
 だが、こうした大規模な設備投資には、今では多くの鉄道会社が及び腰。少子高齢化に伴う人口減の時代が、すでに見えていることがその理由だ。
田園都市線でも、「予算と時間を考えなければ、渋谷付近の複々線化も技術的には可能」(東急電鉄)という。しかし、小田急東武の例を見ても、複々線化が計画されたのは昭和40年代以前。完成までに数十年を要している。
「当時はまだ人口が右肩上がりに増えていく時代で、複々線化工事の必然性が高かった」(東武鉄道)。今から工事を始めても、数十年をかけて完成させたころには、沿線の人口が大きく減り始めていることも十分考えられる。
 車両の導入にも制約がある。地下鉄のトンネルは構造上の制限が多く、「JRが導入しているような幅広の車両を使うのは不可能」(東京地下鉄)だ。
 列車の数は増やせない、大きな車両は使えない。鉄道会社ができることは、現状の限られた輸送力を、より安定して確保することしかない。
 そのために重要なのが、列車を時間通りに走らせること。ラッシュの時間帯は決まっている。少しでも遅れが出れば、ラッシュ時に走れる列車の数は当然少なくなってしまう。密なダイヤを組んでいても、これでは意味がない。
 列車の遅れの大きな原因の一つが、駅での停車時間だ。田園都市線の場合、これまでは途中駅で急行に乗り換えようとする乗客が多く、「急行列車の停車時間が想定よりも延びて、遅れの原因となっていた」(東急電鉄)。急行列車をなくすことは、こうした遅れを防ぐことにもつながる。また、東京メトロ東西線では、ドアを通常の車両よりも大きくして、素早く乗り降りできるよう工夫した車両が走っている。
 このように、停車時間の削減には各社が悩まされている。「以前は輸送力確保のため、オール2階建ての通勤列車を導入した時期もあった。だが、乗り降りの時間が増えてしまい、遅れの原因になるため、現在は一部を除いて廃止している」(JR東日本)。
 また、特定の列車・車両への集中をなくすことで、停車時間を短くしようとする試みも続く。
 西武鉄道では、以前から列車ごとの停車駅を交互に配置し、乗客を分散させる試みを続けている。また、東西線ではこの春から各駅の係員を増員。「階段付近に乗客が集中しないよう誘導するのが目的」(東京地下鉄)。
 「次の列車を利用してほしい旨の構内放送を入れるだけでも、特定の列車への集中は軽減できる。同様に、気分が悪いときは遠慮なく駅員に声をかけるよう、車内放送で呼びかけると、走行中のトラブルを減らす効果が得られる」(小田急電鉄)。
 混雑緩和と定時運行。鉄道会社にとっての至上命題を解く方法は、もはや限られている。と同時に、安定した列車の運行は、利用者の協力なくしては成り立たないのが現状だ。
http://trendy.nikkei.co.jp/special/index.aspx?i=20070801t2002t2