みゃーくの旅③

07:30 奇跡的に起床。若干昨日の酒の気持ち悪さが残ってたが、顔を洗うとさっぱりした(無理しすぎ。)
08:00 朝食。目玉焼き、ベーコン、味噌汁、ご飯と言う至って普通のメニューだがやはり量が多い。一人暮らし者には嬉しい。
09:00 おっちゃんを俺の車にのっけて宿から10分ほど行ったところの池間島のダイビングショップへ。店の主は何ともイケメソと美女な若い夫婦さん。今日一日よろぺこり。
09:30 池間島の港へ。この3月末におろしたてという新艇へ乗り込む。めちゃくちゃこの船カッコいい!朝はどんよりしていた空がどんどん晴れてきた!!出航!!クソテンション上がります。池間大橋の橋げたを潜り抜け、右手に大神島を見ながら大海の真ん中に広がる大珊瑚礁地帯を一路目指す。洋上は風が強く、船の水しぶきがシャワーのように飛んでくる。1本目のダイビングポイントに着くころににはびしょびしょ。
10:00 八重干瀬の1本目のポイント到着。この珊瑚礁地帯は大きく8つのリーフがあるために「八重」と呼ばれており、ひとつひとつのリーフに「頭」や「胴体」を意味する池間島の方言がついている。1本目のポイント名はなぜか「昆虫」。とりあえずまずはゴーグルのかけ方、フィンの付け方、シュノーケルの使い方から教えてもらい、水に慣れるためにシュノーケリングでリーフを泳ぐことに。船の上から水底ははっきり見えてたのに、ゴーグルをかけて見る水中の世界は本当に別世界だった。見渡す限り浅瀬に珊瑚礁が広がっている。その上を無数の大小様々な魚がひらひら泳いでいく。竜宮城ってこういう場所のことを言うんだろうな。しかし、やはり死滅している珊瑚もたくさん目についた。人間が荒らしたものも多いが、ほとんどは台風でやられたものだという。珊瑚は再生に時間がかかるので、早いペースで被害を受けると再生が追いつかない。さらに、そこへ最近問題になっているオニヒトデの増殖がある。俺も泳いでいる間に4体ほど見かけた。バレーボールほどもある巨大なうにのような棘をもったえげつない風貌の塊がオニヒトデ。写真や映像では知っていたが、実物を見たのは初めて。駆除しようにも体が柔らかく、バラバラとちぎれたあとからすぐ体が再生するので、失敗するとむしろ個体数を増やしてしまう恐れもあるというから実にやっかいだ。こんなのに日本の珊瑚礁が食い荒らされているのかと思うと何ともアレである。
11:00 ひとしきりシュノーケリングのこつが分かったので、いよいよダイビングに挑戦。アクアラングや重りをつけると、全部で20キロにもなる。背中に重心がかかるので水の中ではできるだけ前傾姿勢をとるように、と指示を受ける。また、レギュレーター(息するために口に咥えるやつ)の使い方や、水圧でゴーグルに水が入り込んだときの海中での排水の仕方、耳抜きの仕方、海中での簡単なハンドサイン等々を教えてもらった。
とりあえず船から海にドボンと飛び込んで、顔を水につけて息をすーはーやってみる。シュノーケルと同じ要領だ。余裕!と思ってロープを握りながらゆっくり海底へ降りていく。。が、潜るに従ってどんどん怖くなり、呼吸が安定しない。普段地上で口開けて息吸ってるくせに、いざ鼻呼吸ができない状況になると異常に怖くなる。「無理!(>_<)」というサインをインストラクターに送って海面へ戻る。うをー。再度挑戦。でもやっぱり息がうまくできない。怖い。もう1回。またダメ。でもここまで来て潜らなかったらもったいなすぎると4度目、息を整えて落ち着いてロープを伝っていくと、今度はうまくいった。
インストラクターのガイドでゆっくりふわふわ海底6〜7メートルの世界を泳いでいく。今回は体験ダイビングなので自分では操作しないが、背中にしょったリュックみたいなやつの脇にある浮き袋の空気量を調節すれば体の浮き沈みをコントロールできるらしい。
いろんな珊瑚礁を見て回る。青珊瑚が不思議な蛍光色を放っていて幻想的だ。映画のおかげで人気爆発のカクレクマノミの家も見つけた。3匹がいそぎんちゃくの間からひゅっひゅっと顔を出したりひっこめたりしてるのがめちゃくちゃかわいい。今までこの魚が注目されてなかったのが不思議なくらい笑。
海底のつかまりやすい場所で海中写真撮影をしてもらった。レギュレーターの泡で顔が見えなくなるので写真撮るときだけは息を止める。目の前を魚が平気な顔で通過していくので何度も撮り直す。魚に写真撮影を邪魔されるなんて何かウソみたいな話だ。
40分ほど海底散歩をしたあと、船底の下へ戻る。ここですぐに浮上してしまうと、圧力の関係で体内に窒素がたまり、潜水病になるおそれがあるので、3分間待つようにという指示を受ける。(海底では言葉が使えないので、海中で書いたり消したりできるメッセージボードでコミュニケーションをとる)ずっと水の中にいて体が冷えていたのでしょんべんがしたくてしょーがなかった。3分があんなに長く感じられたのは生まれて初めてだった笑。
12:00 船上に戻り、機材を外したあと、ポイントを移すべく船を移動。俺が潜っている間、おっちゃんのほうも海底でレッスンを受けていたのだが、何と近くをサメが泳いでいるのが見えたという。まじこえーな海ん中は。この辺のサメは凶暴なやつはいないので安心とは言っていたが海の中じゃ人間様に勝ち目なし。
12:20 今度のポイントは砂地の海底通路の周りを珊瑚礁が取り囲むエリア。先におっちゃんが潜っている間、俺はインストラクターさんと船上で休憩。いろいろ教えてもらった。酸素ボンベはメーターで残量30を残すように潜水しなければならない。ボンベ内の酸素は乾燥しているので、潜る前に水分補給をしておかないと、レギュレーターを咥えながら唾を飲むという結構難儀なことを海中でやらなければならなくなる(機材によってはレギュレーターからドリンクを摂取できる仕様になってるものもあるらしい)。ボンベの持ちは潜水している深さやその人の肺活量(タバコ吸ってたらなおさら燃費悪し)にもよるが、だいたい40分、潜りなれてるひとなら1時間は持つらしい。また、どんな上級ダイバーでも事故防止のため、原則2人で組んで潜らなければならない(組のことをバディという)。ダイビング実習で教わることというのはほとんど海中での事故防止術で、ゴーグルが外れてしまったとき、ボンベ内の酸素が切れてしまったときなどの緊急事態に陥っても慌てずに落ち着いて対処できるようにするための方法を教え込まれる。
13:00 休憩を終えて2本目のダイブ。水分補給したほうがいいと言われてたのにうっかり忘れて潜ってしまったので、ノドが辛かった笑。今度はなんかリュックサックのフィットが悪かったのか、ボンベが浮いて体が左へ左へくるっと回りそうになるのを必死で抑えながら泳ぐ。ほんとにダイビングって難しい。でも草原のように広がる珊瑚礁の上をふわ〜っと泳いでいくのはほんとに気持ちがいい。幸い俺の回にサメさんと遭遇することはなかった。
インストラクターに、今回は海中でレギュレーターを外してみて写真を撮ってみようと言われた。何ちゅー恐ろしい注文を、と思ったが、それができないと例えば自分のボンベが切れて他の人のボンベを分けてもらうときに、レギュレーターの咥え直しが出来ないし、どうしても必要なワザである。やってみると意外に簡単だが、やっぱり咥え直すときに水が隙間から口に入りこんでくるのがめちゃくちゃ怖い。水深6メートルで水を飲んだら俺なんざ即死だ笑。あと、今回は何かゴーグルに水がたまりまくったので、海中で水を抜くのをやってみたが、どうにもうまくいかねー。余計に水が入ってきて死ぬかと思った。
13:40 というわけで、何だかんだでどうにか溺れ死なずに船上へ帰還。ダイビングまじおもしれー。奥が深すぎる。船に上がったら弁当を用意してくれていた。これまたいろんなおかずが乗りまくった超豪華な弁当。うめー。天気もめちゃくちゃいいし、こんなに楽しいことはない。
14:15 おっちゃんも俺も無事2本ダイビングを終えたので、池間島へ帰還。午後になってまた風が出てきた。船体に横から大きな波が押し寄せてシャワーどころかバケツで水をかけられたような感じでもうぐちょぐちょ。まー気持ちいいからかまへんけど、冬のダイビングなら悲惨だろうな…。
15:00 ショップに戻って後片付けを追え、コーヒーとケーキを頂いてる間に海中写真を焼いてくれていた。実にへっぴり腰で写ってる。まぁいつも俺はこんなもんだ笑。インストラクターさん、どうもお世話になりましたm(_ _)m
15:30 おっちゃんは引き続き機材の洗い方の講習があるというので先に宿へ戻る。ちょっと疲れてたが、残された時間もあまりないのでとりあえず島尻(宿の近所)へ。まず、明日朝一で行ってみようと思っている大神島行きの船着場を下見。だーれもいない。ただ船が係留されてるだけの港だ。明日ほんとにここに船が来るのか心配になる笑。
16:00 港からちょっと行った先のマングローブ林へ。ここは4〜5年前に県の事業できれいに遊歩道が整備された一帯だが、石垣島西表島と違って宮古島はあまり自然が多く残されていないのでこうしたマングローブの林は貴重である。西表島でみかけたジャコウエビが作った巨大な塚の巣もあった。
17:30 昨日行ったカフェのすぐそばにある、これまた外周道路沿いの別の手作りカフェへ。あまりメニューに種類がなかったのでグァバシェイクを頼む。うまし。店のおばちゃんは俺の地元の出身のひとで、夫婦で老後はここでと決めて4年前に移住してきたらしい。俺が神戸人だと聞いて、先日友人が持ってきてくれたという「いかなご」(神戸のあたりで春先に各家庭で作る小魚の佃煮。これがあるとご飯が何杯でも食べられる。)をサービスしてくれた。しかし、ここのお店で聞いた話を、宿で聞いた話を照らし合わせてみるといろいろとつじつまの合わないことが多いのでこれ以上は書かないこととする。ただ、島の生活というのは通りすがりの旅人が表面から見るだけではどうしても捉えきれない難しさがある、ということだけは言っておこう。夕陽が落ちるまでこのカフェのテラス席でのほほん。
19:30 宿に戻り、夕食。新たにまた2人お客が増えていた。が、2人とも一人旅。この宿は一人旅に優しいと情報誌に書いてあったが、本当にそうみたい笑。今日の晩飯もすごい。ディビチー(豚足)が入った沖縄風おでん、スズメダイの煮付け、刺身、パパイヤの炒め物、ゆし豆腐のスープ、ご飯。こんなの毎日食えたら天国だな…。
21:00 今夜もお客さん多数。集落の子供たちが4人。中2から幼稚園じまで。中2の子が俺の妹と顔も性格も生意気なところもそっくりなので家族に写メールを送り付けてやったらおかん曰く「私もう一人○○(妹)産んだ覚えはないけど!汗」とのこと。こいつら夜10時を過ぎてもちっとも帰る気配がない。夕方まで昼寝してたのでどうやら異常にテンションが高いようだ。11時くらいにお母さん(めちゃくちゃ若くて中3くらいに見えたが実は3児の母!汗)がやってきて、連れて帰るのかと思いきや「この子らおばちゃんとこ泊まりたいって。いい?」。無茶苦茶だ・・・しかしおばちゃんはおばちゃんで「こうやって子離れ親離れするんやね」とかワケの分からんこと言ってちっとも迷惑そうな顔をしない。すごい…
そうこうするうちに今度は近所で民宿をやってる大阪人のおっちゃんがやってきた。自分はフランス人だといったり、宿のおばちゃんが昔から好きだったんよとうそぶいてみたり、おばちゃんに「お手」と言われるたびにほいっと手を差し出してみたり、何ともおもろいおっちゃんだが、ちょっとここには書けない悲しい経験の持ち主でもある。実はこの宿のおばちゃんも相当苦労したひとで、改めて俺ももっと仕事頑張らないとダメだと考え直させられた。
02:00 そのあともまた楽しげな地元の若い2人の兄ちゃんやってきて、もっと話がしたかったが、もうおばちゃんも前後不覚状態になってたし、明日も朝早いので夜中の2時に退散。何とも楽しい宮古島最後の晩であった。寝る前に家の屋上に据わって星空見ながら伊良部島で買ったうずまきサンドを食ってみるが、前述のとおりあまりうまくなかった。ちぇっ笑。