都会を動かす手(LE MANI SULLA CITTA)

('63伊、監督:フランチェスコ・ロージ、主演:ロッド・スタイガー、サルヴォ・ランドーネ)

ゆうべの午前2時ごろからテレビでやっていたのをたまたま観た。

ネットで見てもほとんどこの映画についての情報が見当たらない。放映局もどこから見つけてきたのか知らんがとにかくマニアックな映画らしい。とはいえ、やや遅れ気味ながらわりかしタイムリーな放映だったと思う。



ナポリの雑多な市街地である日突然、建物が崩落し、2名が死亡、子供も含めた負傷者が多数出た。

市議会はこの問題を取り上げるが、ちょうど選挙の直前、しかも時の市長は市街地拡張政策を唱えて郊外の大規模開発に乗り出そうとしていた矢先の事件だった。

調査の結果、直接の原因は、取り壊し作業中だった隣の建物と壁一枚でつながっていて構造上一体であるにも関わらず、保護措置がとられていなかったことにあったのではないか、しかし、その裏には建設を請け負った業者の手抜きがあったのではないか、ということが明らかになってきた。

ずさんな開発が市民の安全を脅かしているとして徹底追及の姿勢を見せる左派議員。選挙前にあまり都合のよくない事件を議題にするのは何とか避けたい右派議員。どっちつかずの中道議員。個々の住民が抱える事情を聞かずに、「すでに建物は危険な状態にある」として一律に即刻退去せよとの命令を出す市役所。

紛糾する議会の中で、批判はある大物議員の不正な疑惑に向けられていく…。



放映局の思惑にまんまとハメられたなという気がするが、すでに42年前に、しかも地震のほとんど起こらない国で、こういうテーマで映画が製作がされていたことにショックを受ける。昨今の例の事件と全く同じ枠組み・構図というわけではないが、事の本質はほとんど変わらないと思う。ある登場人物が吐き捨てるように言う↓のセリフもまさにその一つ。


「規則はあっても、それをきちんと守らせる人がいない。事故が起きてから規則に照らすだけじゃ全く意味がない。」


何だかなぁ。。