ブエノスアイレスの夜(原題:VIDAS PRIVADAS)

('01アルゼンチン=スペイン、監督:フィト・パエス、主演:セシリア・ロス、ガエル・ガルシア・ベルナル

オイディプスの悲劇」を現代版・ラテン版に描きなおして、最後にちょっと希望の光を添えて終わるというこの映画。これだけでストーリーの大半は想像がつくかもしれない。

えげつないと言えばどこまでもえげつない。でも別に品が悪いわけではない。役者も舞台も小道具もぜんぶこぎれいにセッティングされているからというのもあるが、逃れられない不幸な運命にもてあそばれる人間たちの姿を素直に描いているから、いやらしさが感じられないのかもしれない。

何にしても「妹」の存在意義というか、こいつが何を考えて行動してるのか最後まで分からなかった。だいたいこいつが妊娠することが物語的に何かプロットになってたんかな…。

印象に残ったシーンは、過去のトラウマの原因となった真っ暗なアパートで、主人公のカルメンがパッと窓を開け放ち、光がサッと部屋に入ってくるシーン。これによって物語の転換(トラウマに縛られるカルメン→開放されたカルメン)が効果的に観る者に伝わる。多すぎる言葉に頼らなくても、あるいは複雑なストーリーテリングによらなくても、単純な演出一つで物語の転換を図ることができるということのいい一例だと思った。

しっかしベルナルはカッコええなぁ…。ということでベルナル出演作3本目でした。他には『アモーレス・ぺロス』('00)、『ウェルカム・ヘブン!』('01)、『dot the i ドット・ジ・アイ』('03)、『バッド・エデュケーション』('04) にも出てるとのことで、『バッド・エデュケーション』がちょい気になる今日この頃。