ハウルの動く城

('04日本、監督:宮崎駿、声優:倍賞千恵子木村拓哉ほか)

んにゃー意味わかんねぇこの映画。

うわさに聞いてたほど伏線完全無視!って印象は受けなかったが、「どうしてあれはそうなるの?」的部分はやっぱ多いし話の方向性がさっぱり見えてこない。

トトロとかラピュタとかの場合は、物語の中心的存在自体(森の化け物やボロ城)が「謎」に包まれているだけでその他の存在はわりかし理解しやすいものだった。なのでおのずと求心力はその「謎」へと働くため、観ている者もそこへ吸い込まれていく。

それに比べてこの映画の中に出てくるものはどれもこれも、何のために行動しているのかがさっぱり分からない。みんなてんでバラバラ。カッコよく?言えば、トトロやラビュタに見られた「謎」の集約性が、この映画では拡散してしまっている。(「千尋」もそうなのかもしれないが、ここをつつくとDIEZの連中がまたギャーギャー騒ぎ出しそうなのでやめておこう)

たとえば(ネタバレあり!)[天空の城を飛ばしていたのは巨大な飛行石という謎の存在だが、城を浮遊させるという明確な機能を与えられている。しかし本作の城を動かしている存在は意思を持っていて、ともすれば城という枠から飛び出てしまいたいとすら考えている。城を支える存在が城から抜け出したいと言ってるのだから全くどうしようもない。また、城がスリム化しただけの天空の城に比して、一旦完全にぶっ壊れてまた最後に蘇るという本作の設定も、象徴的だと思う。中心的存在としての城でさえもが動的で定まらない存在なのだから。]

ある意味でそれは極めてリアルな世界でもある。だって現実の世界を切り取ってきてそれを眺めたとしてもそこに流れている(はずの)「理屈」なんて到底理解できやしないんだから。ひょっとしたら現実の世界にはまったく意味なんかなくて、そんなものはあとからある局面を見た人間が自分勝手につけた「名前」にしか過ぎないかもしれないんだから。「お話」により近づくのは「理屈」があるからであって、したがって現実からは遠ざかる。

まぁ別にこの現実世界が理屈で動いてないなどと言っているわけではないので誤解のないよう。んでからこの物語が現実に起こりうる話だなんて言ってるわけでもないのでよろぺこり。

理屈が見えなくても世界を躍動的に動かしてみせているから、この映画はリアルだと俺は感じたのである。自分でも何言ってるのかよく分からなくなってきたけど。


こういう、何か一つの柱なしの世界を描いてもおもしろい映画を作ってしまえるこのおっさんはやっぱすごい。


そしてやっぱ空がどうしようもなく気持ちいい。

生まれて始めてラピュタを観たときからこのおっさんの描く「空」の感覚にとりこにさてきたが、今回も期待にこたえてくれるものだった。この点で「千尋」は俺にはちょっと物足りない。俺が「魔女の宅急便が好きだ」と公言してはばからないゆえんはそれがためである。

誰かがスピルバーグのことを「人間の、大空への憧れと太古への畏怖をもっともうまく表現する映画監督」と言っていたが、宮崎も「大空への憧れ」を動く絵で最もうまく表現できる監督だと思う。




それにしてもあのガキんちょキャラクターかわいいなぁ☆

「またれよ」

口癖になりそうw



あと巷でうわさになってることに関して聞きたいです。俺は押井守という監督のことをほとんど知らないので詳しい人誰か教えてほしいんだが、あの意味不明なキャラクターとこのおっさんがどういう関係があるんですか?