今日の1シーン

今日、VAの一人Sちゃんが団長を努め、ゼミの友達G谷がこの9月から入団して練習に心血注いできた劇団Radishの第五回公演を見てきた。

カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』。


一緒にはいるけれど、てんでバラバラの家族を必死にまとめようとする長女。

結婚はしたけれど、妻の目が自分ではなく職場仲間の男性に向けられていることに苛立つ夫。

この2人の苦悩が交錯するところで「風」が生まれ、みんなが忘れていた大切な何かが戻ってきた。

サスペンスの心理的な緊迫を逆手にとって、家族と男女の愛をこれでもかというくらいストレートに描いた作品。

プロの脚本なので俺の焦点はSちゃんたちの演技自体。

演技って普段の自分と違うことをするから演技なんだが、でもその演技をしている自分自体、自分の一局面なのであって。人はいつだってペルソナをかぶってるんだから。

Sちゃんの「俺はぜったい浮気なんかしない!」というセリフを聞いて普段のあいつとオーバーラップして笑いそうになったと俺は冗談まじりに言ったが、本当に言いたかったのはそのこと。

普段のSちゃんの、一挙手一投足がやはり演技の骨になっている。
あいつの当意即妙さ、落ち着き、男らしさが、必死に刑事から逃げ回る男の表情を作り上げ、自分より他の男に目が向いている妻に対して嫉妬心をあらわにする男の卑屈な笑みを生み、かと思うと姪とぼけつっこみをする道化た男の姿を形作る。

たまたま昨日、映画と演劇の違いの話を書いたが、本当に舞台は役者が支配する世界で、観客はただそこへ引きずり込まれていくんだな。

入団したてで初舞台のG谷の演技は、まさに練習のたまもの。劇中の誰よりも激しく動き回る役を与えられた彼は生き生きしていた。銃口をさっとSちゃんに向けるシーン、まさか!という感じでベッドから躍り出るシーン、ブラボー!


日曜日の朝にも公演やるみたいです。