Strumpet

('02英、監督:D・ボイル、主演:C・エクルストンほか)

タイトルの意味はご自分で。

Vacuumingと同じくBBC提供のボイル作品。
映画の中にもBBCのスタジオが登場。


検索かけると、VacuuとStrumpetを一緒に見たというブログが散見。ツタヤがミニシアター系新作コーナーにこの2つを並べているので、ツタヤの罠にまんまとかかった人が結構いるようだ。俺もその一人。


TrainspottingやVacuuと同じく、たぶんスコットランドの、さびれた街が出発点。)社会への不満を綴った詩を日々家の壁に書きなぐりながら暮らす青年ストレイマンのもとへ、ひょんなことから放浪者の女の子"ストランペット"が転がりこんできた。彼女がふと手元にあったギターを弾き始めたところから、ストレイマンの詩に生命が吹き込まれ、2人は狂ったように歌い始める。偶然隣の部屋から聞いていた自称マネージャーのノックオフは彼らの歌に激しく感動、「俺がお前らを一気にスターダムにのしあげてやるぜ!」と言い出したところから3人の運命の歯車が転がり始めた…


と書くといかにも王道なサクセスストーリーくさいが、ボイル作品が他と一線を画しているのは、どの登場人物も圧倒的な暗さを抱え込んでたり、極度のキチガイだったりするからだろう。

Trainのべグビー、Vacuuのトミー・ラグ、Strumのノックオフはみんなイカれてるが自分の言動には絶対の自信を持っている。彼らが普通のキャラならしない行動をすることで、物語をありえない方向へ一気に引きずり込む。だから話が面白くなる。基本的に暗い3作品の中である意味彼ら3人は空元気を振りまく存在。

彼はロンドンの圧倒的なパワーを前に、閉塞状況から脱却しようともがき苦しむスコットランドの象徴なんかな。

TrainもStrumも、閉塞した生活の解決の糸口はロンドンにあるはずだ、という描き方をしている。ボイル作品ではないが『ブラス!』('96)もそうだった。スコットランドのさびれた炭鉱街でオーケストラを組む炭鉱夫たちが希望の活路を見出したのは、ロンドンで開催されるコンテストだった。


おどけている中に痛烈な反抗精神がある。それは閉塞したスコットランドから成功しているロンドンへ向けられたメッセージだ。ボイル作品を見ているとそんな印象を受ける。

てわけでこの映画も面白かったので、Vacuuと一緒にぜひ。