シティ・オブ・ゴッド

('02ブラジル、監督:F・メイレレス、K・ルンヂ、主演:A・ロドリゲスほか)

一言でいえばすげぇカッコいい映画。カメラワークも独特だし(黒沢清『」ドッペルゲンガー』同様、「画面複数分割物語同時進行」の手法もあった)、随所で使われてるラテンな音楽もいいし、何より60年代以降のブラジルのスラム街に生きるギャングたちの生き様がすごくリアルに描かれてるからこそカッコいい。

だけど、目が疲れたってのが一番の感想。手撮り感覚な映像なので、画面が上下左右に揺れまくりで目がつらい。映画館で見てたらなおさらだろう。このカメラワークが採用された理由は、恐らく、主人公であるカメラマン志望のブスカペ少年にこの物語を語らせる上で、彼(カメラ)の視点からスラムを描くというスタンスがどうしても必要だったからだろう。とはいえ、観客には辛い。冒頭のニワトリを追いかけるシーンで酔った人はやめた方がいい。

けど、それでも我慢して観る価値アリ。「神の街」で生きるための闘いを続けるリトル・ゼらギャング集団と、その過程をやや遠目に見続けやがて街を出る主人公ブスカペ。そして両者の中間的な存在としての「いい悪党」ベネと「二枚目」マネ。あらゆるキャラがまるで方程式の各変数を構成しているかのような形でストーリーが展開される(と俺は感じた)あたり、確かに舞台が「神がすべてを決める街」なだけある。

そしてギャングのすさんだ心は世代を超えて受け継がれていくという砂をかむような現実を最後につきつけてこの物語は終わる。