Military Privatization

同じゼミの人にとってはまたこれかよ!!とうんざりな話題だけど、せっかく自分で調べてみた面白い現象なので。


俺はまーったくしらなかったんだが、今のイラク戦争アメリカの次にたくさん兵隊送り込んでるのって誰だと思う?

イギリス?

それがねぇ、違うんだってさ!


実は民間の会社だそうな。俺はしらんかったでーうをー

PMC,つまり民間軍事会社


紛争に民間会社が関与するってのは冷戦後、全世界的に顕在化してきた現象で、英米を中心にたくさんの民間軍事会社が生まれた。それらは湾岸・ユーゴ・アフガン・イラクという冷戦後の4大紛争の中で、軍事業務に占めるシェアを拡大してきたというわけ。

米軍の軍艦から巡航ミサイルのスイッチ押してる人間が実は民間人だったりするわけです。ブレマーの身辺警護やってるのも彼ら。

いわゆる「軍事のアウトソーシング」ってやつね。

どうしてこういう現象が生じたかって、一つは冷戦後のアメリカ軍のダウンサイジング(軍備縮小)。

ソ連の脅威がなくなったから、アメリカ軍は規模を縮小して、で、米ソが押さえつけてた圧力釜の蓋がぶっとんで各地で紛争が頻発するようになった」

というよく聞く文脈での話。

つまり、PMCはそういう「米軍の縮小」とそれに伴う「紛争の頻発化」という2大変化によって生まれた「軍事力ニーズの空白」に目をつけてシェアを伸ばしてきた。(これは俺の考え)
他方で、米軍もアウトソーシングで効率的に軍事補助業務やってもらえる

という、持ちつ持たれつ的関係。

でもこれって近代主権国家という観点からするとすごい大きな変化。だって国家ってのは暴力を警察や軍隊の形で「合法的に独占」してきたことで対内的平和と対外的独立性を維持してきたのに、その独占状況をむしばむような現象が、いま世界的に起こっている。

こういう状況をさしてMilitary Privatizationというらしい。
要するに暴力ってのが国だけのもんじゃなくて私人でも持てるようになってきた。

中には250年前に消えた傭兵制の再来だって言う人もいるみたいだけど、俺は個人ではなく企業単位で、しかも国民に説明責任を負うでもなく特定の国家に忠誠心を誓うでもなく、さらに国益ではなく企業の利潤の最大化を第一目的として戦争業務遂行を行う主体が登場したってのは、大きい違いなんじゃないかと思う。

異論は当然あると思うけど。

で、もう一つ付け加えると、Military Privatizationはこういう側面だけじゃなくて、むしろ普通思いつくのは
・戦争の大規模な被害がWW1あたりから民間人にも及ぶようになった
・冷戦後の紛争地域で、カラシニコフなどの兵器が民間に大量に出回っている
という側面。

つまり、この現象って今挙げた3つくらいの流れで顕在化してるけど、結局は暴力のあり方に変化が起こってきてるんじゃないかってのが、この現象を主張する人らの問題意識です。

詳しくはVeterans For Peace(NGO)のHP内のこの記事を。
http://www.veteransforpeace.org/The_privatization_of_121003.htm
英語だけど間単に読めるのでぜひ。

F先生によると、この記事は今回のイラク戦争でのMilitary Privatizationを明らかにしたものとして非常に有名になったらしい。

昨日の朝のNHKおはよう日本で、解説委員(小堺さんみたいな顔した秋元っていう、確かアメリカ方面担当の委員だったはず)が出てきて、前後のニュースとの何の脈絡もなくこの民間軍事会社の報告をしてたんだが、その内容はリンクした記事内容そのままのパクリでした。さも自分が調べてきたかのように具体例挙げてたけど、全部この記事に書いてある具体例そのまんま。しかもこの記事は去年の12月に発表されたものなので、えねーちけーのおっさんが今更何をしたり顔でヌカしとんねんてゆー感じでしたが。