奇人たちの晩餐会(Le diner du cons)

(仏、'98、監督:フランシス・ヴェベール、主演:ジャック・ヴィルレほか)


やばい。これは久しぶりに来たかも。

くだらない笑いではなく、きちんと練られた笑い。


パリの金持ちが集まって自分の連れてきた人間のバカさを競う「バカの晩餐会」つまりバカキング決定戦が週に1度催されていた。ある日、出版社の社長は極上の「バカ」ピニョン氏を発見した。当のピニョンは自分がバカキングの候補になってるとはつゆしらず、お偉いさんの集まる晩餐会に出席できると大喜び。「これで今週の優勝は俺だ!」と社長が舞い上がったのも束の間、うっかり腰を痛めて、医者にも自宅での安静を命じられ、とても晩餐会へいける状態ではなくなった。そこへ何も知らないピニョン氏がノコノコやって来て・・・

って感じで大騒動が起こってく。

ピニョンの想像を絶する「バカ」さがあの手この手で示されていくんだが、バカの本質を、当事者の意思疎通の完全なズレという形で表現してるのがイイし、ピニョン役のャック・ヴィルレのマヌケ面が最高。

でも[本作の核心はピニョンの「人のことを軽々しくバカなんて呼ばない方がいい」の一言に集約されており、極めて警句的な映画とも言えそうだが、でもやっぱ究極のバカは救いがたいのかな]とも思わされてしまう。

結局は製作者側が観客の鼻持ちならないプライドをくすぐって楽しんでるのか。

舞台は95%が社長の邸宅内で、外部とのコンタクトはすべて電話という手法でありまた仏映画らしい「しつこい繰り返し」の多用にも関わらず物語はテンポよく進展。舞台が定点なのに軽快に展開するヒチコックの『裏窓』と構図が似てる。

スピルバーグがリメイク権まで買い取ったほどの映画だが、
やっぱフランス人がフランス語でやらんとダメ。


面白さをうまく伝えられないけど、お店で見つけたら迷わず手にとって買うなり借りるなりしてみるのをお勧めします。

俺は最初から最後まで腹抱えて笑いっぱなしだったから。